石垣島で「生産」と「消費」から窒素負荷を見える化 国際農研×農研機構2025年12月26日
国際農研と農研機構は、熱帯・亜熱帯島嶼地域のモデルとして沖縄県石垣島を対象に、生産者と消費者の行動が窒素バランスの適正化に及ぼす効果を「食の窒素フットプリント」により統合的に可視化した。同研究は、地球が安全に許容できる範囲(プラネタリー・バウンダリー)を超過しつつある窒素問題に対して、日本の島嶼地域から具体的な低減策を示すことを目的に、「食の窒素フットプリント」を用いた統合評価を行う。
図1:食の窒素フットプリント計算フレームの概要
窒素は作物生産に不可欠なものだが、化学肥料への過度な依存により、堆肥など有機資源の利用が進まず、農業由来の窒素負荷を高める一因となっている。また、動物性たんぱく質中心の食生活や食品ロスの増加も、食料システム全体としての窒素負荷を拡大。これらの課題に対し、生産と消費の両面から窒素循環を見直すことが求められている。
同研究では、農畜産業が盛んな石垣島をモデルとして、日本における窒素低減の具体策を検討するため、「食の窒素フットプリント」を適用。島内外の食料・飼料の流れに伴う窒素投入量と窒素負荷量を定量的に把握するとともに、生産者と消費者の両面からのアプローチを組み合わせて評価した。
図2:石垣島の食料システムの現況の窒素フロー
具体的には、生産者側では牛糞堆肥の農地還元促進、消費者側では植物性たんぱく質中心の食生活、食品ロス削減と家畜飼料への再利用(食品残渣の家畜飼料化)といった対策を想定し、これらが島全体の窒素投入量や負荷量など窒素バランスに与える効果を明らかにした。
その結果、生産者側では、島内の化学肥料量・窒素負荷量をそれぞれ20%および13%削減できることが示された。一方、消費者側では、島外地域での窒素投入量・負荷量をそれぞれ19%および31%削減できる可能性が示された。これらにより、生産者および消費者の両者による働きかけが、島内外における窒素投入や負荷の抑制に相乗的な効果をもたらす可能性が示された。
同研究は、「生産」と「消費」を一体的に評価した初めての試み。いずれか一方のみでは問題解決に十分でなく、地球規模の窒素循環の適正化に向けて両者の連携が重要であることが示された。同研究で得られた知見は、島嶼地域から生産者と消費者の協働による具体的な解決策を提示するもので、石垣島だけでなく、フィリピンなど他の熱帯・亜熱帯島嶼地域への応用が可能。
同研究成果は10月10日、国際科学専門誌『Environmental Research Letters』オンライン版にオープンアクセスで掲載された。
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