農地の違反転用 土地持ち非農家に周知活動 農水省2022年4月15日
農林水産省が実施した農地の違反転用実態調査結果では、違反転用者の7割が土地持ち非農家や農業を行っていない法人など農業に関係しないことが明らかとなった。農水省は、発生防止に向け農地転用許可制度の周知活動を関係省庁や団体と連携して実施するとしている。
令和2年中に違反状態だったのは9588件(1216ha)で、令和2年以前からの継続案件が5401件、新規発見が4187件だった。
このうち令和2年中に是正したのは5233件(370ha)、未是正は4355件(846ha)だった。令和2年中に違反転用事案を抱えていたのは全市町村の5割程度だった。
令和2年に新規発見した違反転用は、7割以上が平成28年以前に行われており、早期に違反転用が発見される状況にはないことが分かった。
転用の用途は住宅用地2094件、資材置き場1869件、車庫駐車場1587件、農業関係施設997件だった。
違反者の属性は、個人7割、法人3割。農業を行っているかどうかで分類すると、農業を一切行わない個人・法人が7割を占めた。
農業者による違反転用は専業農家によるものが約6割で違反の多くが「農業関係施設の設置」だった。
転用違反発見の契機は、建築確認など認許可の際や、地籍調査などで判明したものが多く、農地パトロールで発見されたものは2割だった。これに農業委員の日常的な活動で発見したものを加えると、農業委員会が発見したものが約4割を占めた。
是正の状況を経過年数でみると、違反事案発生1年目が8割以上だが、発生2年目には7割に低下、3年目以降は5割程度までに低下した。
農水省は「違反転用の発見が遅くなるほど是正も難しくなる。早期発見が重要」としている。
未是正の事案のうち「是正が見込まれない」は49%、「是正が見込まれる」が17%となっている。
農水省は調査を受けた課題と対応を方針をまとめた。
違反転用は7割が土地持ち非農家や営農をしていない法人が行っていることから、こうした個人と法人に農地転用許可制度の周知が必要で関係省庁や団体と連携した周知活動を実施する。
早期発見と早期是正のためには農地パトロールのさらなる活性化が必要でタブレットの活用など効率的、効果的なパトロール手法を周知する。
長期間、未是正の案件でも継続的な指導で解消につながった事例が多く存在することも調査で分かった。一方で未是正の解消が見込めないことを理由に消極的な対応になっている転用許可権者もいるとして、農水省は未是正が解消した事例の周知を図る方針だ。
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