みどり戦略基本計画 北海道、長崎、大分が策定 有機面積目標など2023年1月12日
みどりの食料システム法に基づき、農業の環境負荷低減を促進する各都道府県の基本計画が策定さることになっているが、昨年10月に滋賀県が全国に先駆けて公表したのに続き年末に北海道、長崎県、大分県が策定した。
滋賀県の基本計画では、化学肥料・化学農薬の使用低減や、琵琶湖の環境負荷に配慮した「環境こだわり農業」の生産拡大などを盛り込んでいる。計画に基づき11月には有機農業の拡大に取り組む2農業者を認定した。認定を受けると環境負荷低減に役立つ農機の購入などで税制の支援を受けることができる。
クリーン農業推進-北海道
12月23日に公表した北海道の基本計画は道内全179市町村とともに作成した。
1991(平成3)年度全国に先駆けて推進してきた環境との調和に配慮した「クリーン農業」や、2050年までに道内の温室効果ガス排出実質ゼロをめざす「ゼロカーボン北海道」の取り組みを基本とする。
一次産業を基幹産業とする北海道では家畜の飼養頭数が多いことなどにより、農林水産分野からの温室効果ガス排出量の占める割合が国内全体の4%に比べ2.5倍の10%となっている。
一方、北海道は太陽光や風力、バイオマスなど再生可能エネルギーの活用では全国随一の可能性があることや、CО2を吸収する森林や農地が広大なことから「ゼロカーボン北海道」の実現をめざす。みどり戦略の実践もその実現に寄与するとしている。
基本計画のおもな目標は▽農業での燃料燃焼によるCО2排出量を10.6%削減、▽化学農薬使用量10%削減、▽化学肥料使用量20%削減、▽有機農業取り組み面積を2020年の4817haを1万1000haへ拡大など(いずれも2030年目標)。
そのほか北海道独自のクリーン農業技術を使い化学肥料や化学農薬を減らすなど一定の基準をクリアして生産された「YES!clean」農産物の作付面積を1万7734ha(2018年)を2024年に2万haに拡大する目標も掲げた。
1991年度からスタートしたクリーン農業の取り組みでは、単位面積当たり主要農薬で58㎏から30㎏(2020年度)、主要肥料で812㎏から469㎏(2016年度)へと4割以上減少している。また、稲わらをほ場にすき込まず堆肥化することで水田から発生するメタンを削減する効果もある。
そのほか農林業機械、漁船の省エネルギー化、燃油使用量を低減する設備、技術の導入なども進め、「YES!clean」農産物や有機農産物の情報発信を通じて消費促進と理解醸成にも取り組む。
有機農業 25%を目標-長崎県
長崎県は県内21市町とともに基本計画を策定し12月23日に公表した。
県内では化学肥料、化学農薬の使用量を慣行の5割以上低減する「特別栽培」は2020年度に1652haと10年間で549ha増加した。また、温暖化防止や生物多様性保全に資する環境保全型農業直接支払交付金の交付対象面積は2019年度に全国12位の1577ha、エコファーマー数は全国19位の1113名となっている。
一方、化学肥料、化学農薬を3年以上使用しない有機栽培の面積は2020年度で195ha、耕地面積に占める割合は0.42%と全国平均の0.58%を下回っている。
こうしたなか基本計画では、関係団体と連携し環境負荷低減に資する技術について、各地域・品目で実証し栽培暦への反映を積み重ねることで「一般的な農業者が普通に取り組める栽培体系の確立」を進めていくとしている。
目標は特別栽培面積で2020年の1652haを2030年に5625haに広げる。有機栽培面積は同195haを同664haに広げる。また、2050年目標には国の目標と同じ耕地面積の25%に当たる1万500haをめざす。
とくに有機農業の取り組み拡大に向け、有機農業を指導する指導員による支援体制の整備や、他都道府県や民間などで開発されている技術情報の収集と技術の組み合わせ、有機農業者と一体となった研究機関などでの技術開発と普及、オーガニックビレッジの取り組みを推進する。
IPМ技術と耕畜連携を軸に-大分県
大分県は12月28日に県内全18市町村とともに策定した基本計画を公表した。
取り組みのポイントは、天敵や生物農薬の利用、抵抗性品種の導入など、化学農薬使用を減らすことに資するIPМ技術の普及・拡大と、耕畜連携による地域産堆肥の利用で化学肥料の使用量減を図る。
また、施設園芸でヒートポンプや木質バイオマスなど温室効果ガス排出削減に資する機械設備の導入も図る。
「国東半島宇佐地域世界農業遺産地域ブランド認証制度」などを活用し、環境に配慮して生産された農産物のブランド化による認知度向上と消費拡大をめざす。
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