米の播種前契約26年産で50%を目標に 経営の安定に向け農水省が設定2023年4月13日
農林水産省は米の事前契約について、2026年産で播種前契約の比率を50%とする目標を設定した。3月30日の「米取引の事前契約研究会」で示し「米に関するマンスリーレポート」4月号の特集で取り上げている。「収穫前」ではなく、「播種前」契約への転換を促すことで需要に応じた生産と販売、農業経営の安定につなげていきたい考えだ。
農林水産省は、年間玄米取扱い量500t以上のJAなど集出荷業者(約700業者)の事前契約の状況について21年産と22年産を対象に調査した。
この調査では、「当年産の3月末までに書面で取引数量等が取り決められた契約」を「播種前契約」(複数年契約も含む)と定義して調べた。
その結果、21年産では28%、22年産では29%と約3割だった。このうち小売や中食・外食など実需者と結びついた契約の割合は21年産は5%、22年産は3%だった。
数量は21年産で仕入れ計画数量369.9万tのうち102.6tだった。
一方、これまで農水省が年間取扱量5000t以上の100業者を対象に実施している事前契約の調査は「収穫前」の調査で21年産では47%で18年産から50%前後で推移している。
農水省は事前契約を拡大させるため、26年産の目標として「播種前契約」の割合を現行の収穫前契約の水準である50%とする目標を設定した。28%を4年間で倍以上に拡大し、このうち実需と結びついた契約を現在の5%から10%に拡大することも目標に掲げた。
米取引の事前契約研究会では集出荷業者・米卸売業者の委員からは「現在の商習慣では3月末までに実需者と書面で契約を結ぶケースは少なく、10%は容易ではないが、指標を示すことによって動きが進むことを期待する」との意見や、外食・中食の委員からは商習慣上の契約時期の問題に加えて、播種前段階での将来予測の難しさ、保管リスクなどを指摘する一方、「生産者が播種前には作付け内容を決めなければならないという点の認識を広めなければならない」との意見が出された。
農水省は播種前契約への転換を促すため、現在は米穀周年供給事業で収穫前契約と複数年契約を対象にしている加算措置のあり方や、業務用向けの販売促進の支援、産地と事前契約で結びついた米の販売促進、商品開発の新たな支援などを検討し、来年度予算に反映させるとしている。
米のマンスリーレポート4月号では、事前契約には作柄変動などのリスクがあるが、これまでの事例として作柄変動を踏まえ協議した数量を取引数量とする契約があることや、面積で契約し収穫された米の全量を取引数量とする契約事項を盛り込んでいる事例もあると紹介している。
一方、生産者とJAなど集出荷業者との出荷契約では、実需者のニーズに基づいて、あらかじめ生産者に出荷依頼数量を提示し、これを超える出荷数量分については生産者への支払い金額を下げるという契約事項を盛り込んでいる事例も紹介している。
事前契約研究会では生産者委員から「生産コストをベースにした価格による取引が望ましいが、一方で播種前契約が進まない要因として価格は作況の変動がある。中食・外食からの引き合いは強いが利益幅の小さい銘柄の価格安定が望ましい」、「ナラシ対策において播種前に実需と結びついた契約を行うことを要件とすることを検討してはどうか」などの意見が出ている。
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