【基本法検証部会】農地有効活用と新規就農支援策に課題 関東意見交換会2023年7月20日
農政審議会基本法検証部会は7月18日、関東ブロックの意見交換会を開いた。
神奈川県愛川町で14年前に新規就農し有機野菜を生産している(株)農楽の千葉康伸代表取締役は、今後の生産現場では地域資源に活用が不可欠で、種子や肥料などを地域でどれだけ利用できるか目標を立てる必要性や、消費の現場で生産環境を「見える化」することの必要性などを指摘した。
茨城県稲敷市でレンコンの栽培と販売に特化した(株)れんこん三兄弟の宮本貴夫代表取締役は、今後、農業者が減少するなかで「農地バンクを活用した農地の集積、集約がさらに必要」と述べるとともに、土地持ち非農家にも農地活用への理解を求めていくことが必要だとした。
農産物の価格形成について加工用レタス、キャベツなどの契約栽培を行っているトップリバーの嶋崎田鶴子代表取締役は、「適正価格とは何か。検証していかなくてはならない」と話した。例としてレタス一個150円の場合、生産者手取りは70円~80円だと言うが、その価格で「生産できているか」を検証する必要があると指摘した。また、契約どおりの数量を販売するため生産量は120%と設定し、そのロスは生産側が引き受けるという問題も生産者の負担になっている実態も話した。
静岡県森町でレタスやミニトマトなどを生産している佐野ファームの佐野敦子専務は農業委員会会長と法人協会の会長で女性では初めて。女性リーダー育成の必要性や農業現場での女性のトイレ問題の深刻さなどを指摘するとともに、ドローンやAIなど労働力を補う技術の導入などの必要性を強調した。
茨城県でサツマイモの生産、加工販売をするカルビーかいつかスイートポテト(株)の貝塚みゆき会長は、契約農家との安定生産のため優良品種や肥料の提供、収穫作業の受託などを進めているが、今後の農業従事者の減少を見込み、移植機や収穫機の開発が課題となっていると話した。
日本茶の輸出に力を入れている静岡県の杉本製茶の杉本将明代表取締役は、輸出国の法規制について輸出に取り組む事業者の理解度を上げることや、輸出先の価格調査に基づく適正価格での販売の重要性を強調した。
2019年に県内初の農学部が発足した高崎健康福祉大学の倉澤正則教授は、中山間地域では小規模農家や半農半Xなど多様な担い手が農地を利用することで、地域の魅力の柱となっており、今後は移住者、関係人口の確保、環境などを生かした地域振興など「地域政策」にもしっかり取り組む必要があることや、深刻化する鳥獣被害に対策を講じる重要性も指摘した。
フードバンクかながわの藤田誠事務局長は、2022年度に365tの食品を利用団体などに提供したが、神奈川県内の食品ロスの「0.1%」に過ぎないとしてフードロスをさらに減らすともに、生活に困っている人へ有効活用する必要性を挙げ、フードバンク活動への継続的な支援を求めた。
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