1位「スマホで果樹の促成栽培管理を支援」 2023年農業技術10大ニュース(1~5位概要)2023年12月26日
農林水産省は12月25日、2023年農業技術10大ニュースを発表した。この1年間に新聞記事となった民間企業、大学、公立・国立の試験研究機関の研究成果306件のうち、農業技術クラブ(農業関係専門紙・誌など30社)の会員による投票で選定した。みどり戦略やスマート農業の実践に資する技術などが多かった。
1位【果樹の開花に必要な低温積算時間を一目で把握-スマホで果樹の促成栽培管理を支援】
農研機構は「果樹の開花に必要な低温積算時間」を把握できるシステムを開発した。果樹は一定の低温にさらされる必要があるが、地球温暖化でその環境の確保が難しくなっている。そのなかでこのシステムではWebブラウザの操作で指定した園地の低温積算時間の実況と予報値を表示することができる。
表示はスマートフォンでも閲覧でき、加温開始時期を簡便に適切に判断できるため開花率の向上や開花時期が揃うほか、無駄な加温がなくなることによる省エネ効果で生産性の向上が期待できる。現在はお試し版を無料公開中で会員登録すれば利用可能だ。
2位【雨が降っても安心! 畝立て同時乾田直播機を開発】
降雨後のほ場でも水稲の乾田直播作業ができる「畝立て乾田直播機」を農研機構とI-OTA合同会社が共同開発した。
直播作業部を改良し表面が硬い畝を作り、その上面に種子を播く仕組みを開発した。降雨後でも畝上面の冠水は少なく、生育初期の降雨や滞水による湿害を回避することができる。従来技術に比べて作業が早い。
排水不良地域や二毛作体系が主体だが水稲作準備期間が短い九州地区で雨が降っても適期の乾田直播が可能となる。安定的な二毛作の拡大への貢献も期待される。
3位【サツマイモ基腐病に強い青果用かんしょ「べにひなた」 南九州の青果用かんしょの安定生産に貢献】
サツマイモ基腐病は2018年に発生が確認され、今でも被害をもたらしている。
農研機構はサツマイモ基腐病に強い青果用かんしょの新品種「べにひなた」を育成した。同病害がまん延している畑での試験栽培で従来品種の「べにはるか」は収穫量が1割以下だったが、「べにひなた」は8割以上収穫できた。抵抗性の程度は「強」で、収量は10a300kgと「べにはるか」並みの多収品種。
外観品質にも優れ、ホクホクした肉質でやさしい甘さがある。貯蔵しても肉質が変化しにくいため食品加工用での利用も適している。
宮崎県と鹿児島県での普及が見込まれ、サツマイモ基腐病被害の軽減と安定生産への貢献が期待される。
4位【レーザー光による害虫駆除技術を開発-殺虫剤を使わずに害虫を撃ち落とす】
大阪大学と農研機構は薬剤抵抗性を持つガの一種「ハスモンヨトウ」について、青色半導体レーザーを照射して撃墜することに成功した。研究では効果的な狙撃部位が飛翔害虫の胸部と頭部であることを発見した。
また、害虫の検知、追尾、レーザー撃墜の連続動作を実現し、0.03秒後の害虫の飛翔を予測したレーザー撃墜モデルを開発した。明確に照射対象だけを判別する検知技術とAI(人工知能)技術で安全性を確保している。
これによって薬剤抵抗性を獲得した害虫を駆除できるだけでなく、近年猛威を振るっているクサトビバッタなどに対応可能で食料増産に貢献する新技術として期待される。。
5位【コメを活用した肥料被覆材を開発-プラスチック殻の土壌残存・海洋汚染「ゼロ」をめざす】
三洋化成化学工業とバイオマスレジンホールディングスはコメを活用した生分解性樹脂を使った肥料被膜剤を開発した。
被覆肥料は肥料成分が溶け出した後のプラスチック殻が土壌に残ったり、水田から河川、海洋へ流出することが問題となっている。コメを活用した被膜剤は環境負荷低減に貢献する。肥料成分の溶出期間は利用者の要望にあわせて制御することが可能だという。農地での検証を経て2027年に実用化する予定。
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