水稲でヒメトビウンカ 近畿一部地域で多発のおそれ 令和6年度病害虫発生予報第2号 農水省2024年5月16日
農林水産省は5月15日、令和6年度病害虫発生予報第2号を発表した。向こう1か月の主要な病害虫の発生は、水稲では、縞葉枯病(ヒメトビウンカ)の発生が、近畿の一部の地域で多くなると予想されている。麦では、赤かび病が、南関東、東海、近畿、四国と九州の一部の地域で多発。野菜では、コナガの発生が、北陸、東海及び近畿の一部の地域で多くなると予想されている。また、果樹カメムシ類の発生は、東海、近畿、中国、四国及び九州の一部の地域で多くなると予想。この他、なしのシンクイムシ類など、地域によっては多くなると予想されている。
各作物の詳細は以下の通り。
◎水稲
・縞葉枯病(ヒメトビウンカ)の発生が、近畿の一部の地域で多くなると予想。同病は、ヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病で、経卵伝染により次世代もウイルス媒介が継続するため、ヒメトビウンカを対象とした防除を実施する。
なお、ヒメトビウンカの防除を実施する場合は、薬剤抵抗性の発達を助長しないよう、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統の薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。
・スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)は、昨冬の気温が高かった発生地域では、多くの個体が越
冬しているおそれがあるため、一層の被害の発生を警戒する必要がある。今春の被害を抑えるため、移植前に取水口・排水口にネットや金網を設置し、スクミリンゴガイの侵入を防止すること。水田内の発生が多い場合には石灰窒素の散布が有効だが、石灰窒素は水稲の生育にも影響があるため、使用時期や使用方法、施肥量等を確認のうえ実施する。また、移植時は薬剤を散布し、移植後は水深を4cm(理想は1cm)以下に維持する浅水管理を実施する。
スクミリンゴガイは、農機具・機械に付着した泥とともに他のほ場へ拡散するおそれがあることから、発生ほ場で使用後は泥をよく落としてから移動させるよう心がける。なお、一旦定着したスクミリンゴガイを根絶することは困難で、周辺の水田にも悪影響が及ぶことから、除草目的でも、未発生地域や被害防止に取り組む地域でのスクミリンゴガイの放飼は行わないこと。
農水省では、被害防止対策に関するマニュアルや動画などをホームページに掲載。また、農研機構植物防疫研究部門を代表機関とするコンソーシアムが、防除技術、リスク地図等を紹介する「スクミリンゴガイの防除支援マニュアル」を公開している。詳しくは下記URLを参照。
◎麦
麦で各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫と地域は次の通り

・赤かび病の発生が、南関東、東海、近畿、四国及び九州の一部の地域で多くなると予想。愛知県、滋賀県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県及び大分県で注意報が発出されてる。同病は、感染しやすい時期を捉えた防除が重要で、麦の種類ごとに防除時期が異なる。昨冬から今春にかけて気温が高かった地域では、麦の生育が当初の予測よりも早まる可能性がある。都道府県が発表する発生予察情報等を参考に、地域ごとの防除適期を確認して的確に防除を実施する。なお、防除適期に降雨が続く場合は、降雨の合間に防除を実施する。
◎野菜・花き
野菜・花きで各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫と地域は次の通り

◎アブラナ科共通
・コナガの発生が、北陸、東海及び近畿の一部の地域で多くなると予想。ほ場を見回り発生状況に注意しつつ、都道府県が発表する発生予察情報等を参考に、適期に防除に実施する。
なお、同虫は薬剤抵抗性が発達しやすいため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定すること。
◎果樹・茶
果樹・茶で各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫と地域は次の通り

◎果樹共通
・果樹カメムシ類の発生が、関東、東海、近畿、中国、四国及び九州の一部の地域で多くなると予想。茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県、愛知県、京都府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、岡山県、山口県、香川県、徳島県、高知県、福岡県、長崎県、熊本県および大分県から注意報が発出されている。
山林等の越冬場所から離脱した成虫が春の気温の上昇とともに餌を求めて移動し、果樹全般を加害する。同虫の飛来状況は地域や園地により異なるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考にしつつ、園内の観察をきめ細かく行い、飛来が認められた場合は、飛来初期から防除を実施する。
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