水田政策見直し 田・畑とも「作物」支援へ転換 27年度から 水張り要件廃止2025年1月31日
農林水産省は1月31日、水田政策の見直し方向を明らかにした。現在、政策の柱となっている水田を対象として支援している水田活用直接支払交付金制度を見直し、水田・畑に関わらず作物ごとの生産性向上を支援する政策に転換する。
検討を進め現在策定中の次期食料・農業・農村基本計画に盛り込める施策は盛り込むが、全体像は2025年度中にまとめる。検討にあたっては与野党を含め幅広く意見を聞き、食農審企画部会の場でも議論する。
見直しの基本は水田を対象としている、いわゆる「水活」を作物ごとの生産性向上を支援する政策に転換する。2027年度から実施することにしており、2027年度以降は「5年に一度の水張り要件」はなくなる。
また、2025年産、26年産も連作障害を回避する土壌改良材や堆肥の投入、病害を予防する薬剤の投入などを実施していれば水張りをしなくても交付対象とする。
作物ごとの支援策では主食用米では農業者の減少が見込まれるなか、大区画化や、スマート農業の技術の活用、品種改良など生産性向上、需要拡大策を強力に推進しコスト削減を図って、需要に応じた生産を基本に国民への安定供給をめざす。
また、輸出も含めた米需要拡大をめざして新市場開拓米、米粉用米などを交付金などで支援する。
輸入依存度の高い麦、大豆、飼料作物については水田、畑に関わらず本作化をめざし生産性向上に取り組む農業者を支援する政策へと見直す。現在のゲタ対策やナラシ対策も含めて検討する。
国産飼料の生産性向上を図るため、飼料用米への支援は維持しつつも、飼料用米中心の生産体系を見直し、労働生産性の高い青刈りトウモロコシや子実トウモロコシなど生産振興を図る。
「水活」は水田フル活用政策だったが、畑地(水田からの畑地化も含む)も対象に農地をフルに活用する政策に転換する。
そのほか、みどり戦略の実現に向けて有機や減農薬・減化学肥料などの取り組みなど環境に配慮した生産を新たな交付金で支援する。主食用米も支援の対象とする。
農業者が急減するなか、担い手がより多くの離農農地を引き受けて地域計画を実現できるよう農地の集約化などの支援制度について既存制度の見直して強化を図る。
産地交付金は、現場の実態を調査、検証したうえで、水田、畑に関わらず条件不利地域も含めて地域の実情に応じて、産地形成ができるよう見直す。
中山間地域直接支払も条件不利の実態に配慮して支援を拡大するほか、多面的機能支払は活動組織の体制強化を図る。
予算については現行の水活の見直しと既存施策の再編によって得られた財源を活用する。
担い手の減少や気候変動、国際情勢のリスクなどがあるなか、米をはじめとする食料の安定供給のために「これまでの殻を破った見直し、意欲を持って営農できるよう支援を考えていきたい」としている。
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