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農政:時論的随想 ―21世紀の農政にもの申す

(107)水田フル活用政策の本気度を問え2016年8月8日

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梶井 功 東京農工大学名誉教授

◆米政策への不満噴出

 参院選は、東北1人区での自公与党1勝3敗、甲信越1人区での0勝3敗という"東北・甲信越の乱"(7・12付日本農業新聞解説の表現)があったものの、改憲勢力が2/3を超えるという安倍与党の大勝となった。
 開票翌日の記者会見で安倍総理は"経済政策「アベノミクス」を一層、加速させることに「国民から力強い信認を得た」と述べた"そうだし(同日付日本農業新聞)、翌12日には"アベノミクスは道半ばである。......しっかりと成長していく道筋をつけなければならない。そのため、......総合的かつ大胆な経済対策を講じなければならない"として"経済財政担当大臣を中心に、月内を目途として経済対策の取りまとめに向けた準備を進め"るよう内閣総理大臣指示を出した。
 その「指示」では、農業に関わる問題としては"農産物輸出促進や農業競争力強化に向けたインフラ整備"が、"リニア中央新幹線の計画前倒し"などと一緒にあげられている、にとどまる。
 "東北・甲信越の乱"を見て、自民党からは...「敗因に米政策への不満があるのは明らか。手を打たないといけない」...との声が出ている"(7・12付日本農業新聞)そうだが、安倍総理にその声はとどいていないらしい。


◆水田政策は軽視か

 7・21自民党農林水産戦略調査会・農林部会合同会議に、農水省は総理指示の「経済対策に盛り込む事項(案)」を提出した。「事項(案)」は、1.21世紀型のインフラ整備、2.経済リスクに備えた資金繰り支援、3.災害復旧、防災・安全対策の加速の3つに分けて"盛り込む事項"があげられている。特に多くの事項が示されているのは21世紀型のインフラ整備の所であり、次のような事項が列挙されている。
 (1)農林水産業の輸出力の強化
 (2)中山間地域の農業所得の向上
 (3)農林水産分野におけるイノベーションの推進
 (4)「TPP関連政策大綱」の着実な実施
 (5)「農林水産業・地域の活力創造プラン」に基づく施策の着実な実施
 以上、見る通り、党内から"「手を打たないといけない」との声が出ている"米政策は、項目のどこにも姿を見せてはいない。
 見せてはいないが、然し米関係が全く無いわけではなく、(2)の"①中山間地域所得向上支援対策"の説明のなかに"水田の畑作化等の基盤整備"が書かれているし、(5)の①生産振興・鳥獣被害防止対策の説明のなかに"水田フル活用"の一句が入っている。
 入ってはいるものの、こうした水田関係の取り扱い方を見て、農水省は米政策を首相指示の「経済対策」に位置づけなければならない重要政策とは見ていないのではないか、と感ずるのは私だけだろうか。
 選挙前のことだが、今後の米政策について自民党を代表して谷垣幹事長が次のように語っていたことを思い出した。
「昨年産米は、......飼料用米などへの転換を進めた結果、長年の課題だった過剰作付けが解消された。米価も安定的に推移している。こうした姿こそ、2018年産米以降の姿だ。
 18年産米以降も、全国の需給見通しや産地別・主要銘柄別の情報提供など政策支援に全力を尽くすと同時に、輸出にも努力していく。飼料用米については、水田フル活用の予算を恒久的に確保することを公約とした」(6・24「日本農業新聞」)。
 自民党の先生方は、同じようなことを選挙戦中は農村で演説されたことだろう。その公約が、これからつくる「経済対策」の中には重要施策として位置づけられるのかどうか危ぶまれる情況になっている。農林族の先生方に今こそ問題にしてもらいたいことだ。


◆水田畑地化の問題点

 もう一つ、農水省「事項案」で気になる点がある。"水田の畑地化等の基盤整備"が"中山間地域所得向上支援対策"の中で"収益性の高い農産物の生産・販売等に本格的に取り組む場合"の支援措置として言われていることである。
 水田の"汎用化"ではなく"畑地化"であり、"収益性の高い農産物の生産・販売に本格的に取り組む場合"のその経営は、どうやら米生産との複合経営は念頭に無いらしい。"収益性の高い農産物"として何が想定されているのか分からないが、中山間地域が地域として取り組むのに少数にとどまるであろう専作経営だけを想定することでいいのか、問題である。
 古い話で恐縮だが、生産調整問題を初めて本格的に議論した1969年9月の農政審答申が、生産調整施策として"まず第一は稲作の転換ないし休耕の奨励"をいった時、"稲から他作物への作付転換"の所に"造林を含む"が括弧書きで書いていたことを想い出した。
 中山間地水田の"畑地化"が同じ括弧書きにならないようにしてもらいたい。

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