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農政:バイデン農政と日本への影響

【バイデン農政と日本への影響】第3回 バイデン農政へ与える中国農業の影響(1)~2021年度の対中輸出額が史上最高へ エッセイスト 薄井 寛2021年3月10日

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米国農務省は2月18日、2021年度の対中農産物輸出額が前年度比85%増の315億ドルへ増え、輸出総額は15.7%増の1570億ドルに達するとの予測を公表した。予測が現実となれば、ともに史上最高額だ。

中国がメキシコ・日本を抜き第1位の輸入国へ

米国からの中国の輸入増は大豆や穀物、綿花、食肉など数多くの品目に及ぶ。昨年10月以降、特にトウモロコシの買付が急増し、21年度は1770万トンが予測される。これで中国のトウモロコシ輸入総量は20年度(760万トン)の3.2倍、2400万トンの史上最高に達し、同年度1位のメキシコ(1650万トン)、2位の日本(1560万トン)を大きく抜き去ることとなる。

国際市場は敏感に反応し、米国では大豆などの油糧種子と穀物の価格が高騰、3月初旬現在も7年ぶりの高値圏で推移する。米国産の大豆とトウモロコシの輸出価格は2月26日現在、トン当たりそれぞれ546ドル(前年同日比56.4%高)、249ドル(同52.3%高)に達した(FAO-AMIS)。

中国の輸入急増の引き金となったのは、本紙連載「20年大統領選挙と米国農業」の第15回で報告したように、アフリカ豚熱(ASF)の蔓延で激減した豚肉供給の回復策だ。これによって中国内の飼料需要が供給を上回り、大幅な輸入増に依存せざるをえなくなったのだ。

こうした中、米国農務省のマイヤー首席エコノミストは2月18日、同国農家の作付け増に関する予測を明らかにした。今年の大豆とトウモロコシの作付け面積がそれぞれ9000万エーカー、9200万エーカー、昨年比18.3%増と2.6%増の見通しだ。予測的中なら、米国における二大作物の合計作付面積が史上最高となる。
 
中国の爆買いは続くのか

世界の食料市場では今、中国のさながら"買い占め"現象が起きている。米国農務省の21年度予測によると、中国が世界第1位の輸入国にランクされる農畜産物は大豆とトウモロコシに加え、グレインソルガム、大麦、オート麦、米、大豆油、菜種・菜種油・菜種粕、牛肉・仔牛肉、豚肉、バター、脱脂粉乳、全脂粉乳など著しく多い。

21世紀に入り、中国の農産物輸入額は順調な経済成長と食肉消費の増大などを背景に年々増加し、2010年には994億ドルを超えて世界第1位の農産物輸入国へ躍り出た。

その後、2位米国と3位ドイツ、そして4位の日本を年々引き離し、19年には中国の農産物輸入額が1724億ドルに達した(日本の590億ドルは中国のほぼ3分の1、表参照)。同輸入額が中国の商品輸入総額に占める割合は10年の4.8%から19年の5.8%へ増えたが、ドイツの7.3%、日本の8.2%と比べてもまだまだ爆買いの余力はありそうに見える。

世界の4大農産物輸入国の輸入額世界の4大農産物輸入国の輸入額

米国の農業誌サイトでも楽観論が支配的だ。2月から3月にかけ、大豆とトウモロコシの作付け増を推奨する専門家のコメントが増えた。中国の短期間のコロナ抑え込みと急速な経済回復の成功が楽観論の主な根拠となっている。

「中国の豚飼養頭数の回復計画は21年夏に完了する」、「19年の水害による減収などで一時的にひっ迫した中国のトウモロコシ在庫も21年中に回復する」。こうした情報は米国の農家にも伝えられてきた。にもかかわらず、中国の輸入増に対する期待感の高まりで情報が耳に届かないのか、ほとんどの農家は作付け増へ向かっているようだ。

「中国ではトウモロコシの需給がひっ迫して小麦価格を上回っているほどだ。米国の輸出増は少なくとも2022年まで続く」、「22年度以降、中国のトウモロコシ輸入は3000万トンを上回る可能性がある」。強気の観測が農業関連サイト上で踊っている。

本年1月、全米農民連盟のラルー会長は「米国農業に内在する課題」として、「輸出への過剰な依存」を指摘したが(本連載第1回)、米国での今年の作付け増にもラルー会長の不安がつきまとう。

しかし、本年6月には完了する南米農業国の大豆とトウモロコシの収穫が米国側の読み通り減収となれば市場はさらに活況を呈し、その上、本年秋まで好天に恵まれて米国が豊作となれば、バイデン農政の「脱炭素農業」など米国の穀物農家にとっては眼中に無くなってしまうかもしれない。

一方2月下旬には、農家経済の急速な回復予測を理由にした農業補助金の削減論がワシントンで浮上し始めた。穀物市場の活況が今後も続くようなら、都市部の民主党議員を中心に農業過保護論が強まり、バイデン農政の展開へ微妙な影響を与えることも予想される。

ただし秋までの間に、中国の輸入に少しでも陰りが生じ、前述の「不安」が的中するようなことになれば市場価格は暴落し、バイデン政権の対中通商政策に対する農業関係者の批判と反発が一気に噴き出すことになる。

米国の対中貿易赤字は3100億ドル(2020年)。対中輸出総額(1246億ドル)のうち農産物輸出は10%前後だが、米国の農産物輸出総額に占める対中輸出の割合は20%を超えてきた。食料爆買いの中国が米国の農政と農家経済へ与える影響力をほぼ独占するような時代が、21年から始まる。大げさな話だとは、言えなくなるかもしれない(次号は中国農業の抱える問題を中心に報告する)。

【シリーズ:バイデン農政と日本への影響】

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