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農政:バイデン農政と中間選挙

【バイデン農政と中間選挙】穀物・大豆の増産に消極的な米国農務省~背景に輸出低迷の危機感【エッセイスト 薄井寛】2022年4月20日

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休耕地の部分的な生産復帰を求める全米穀物飼料協会や食品業界等に対してビルサック農務長官は3月31日、「休耕地の多くは土壌浸食が激しく、増産に寄与する可能性は少ない」との考えを書簡で伝え、気候変動対策の公約実現のため温室効果ガスの排出抑制に役立つ休耕計画を促進するとの方針を強調した。

休耕計画のもう一つの狙い

米国では土壌浸食などの激しい農地を生産から隔離し、草地化や林地化を進める「土壌保全留保計画(CRP)」(保全休耕プログラムとも訳される)が1985年から実施されてきた。

CRPに農地を登録する地主は10~15年にわたって浸食防止や水質改善、動植物の保護等の対策を実施し、地代に代わる補償金を農務省から受け取る。

2022年2月現在、CRP休耕の総面積は890万ha(総耕地面積の約7%)。補償金は全米平均でha当たり約2万4000円(エーカー当たり80.62ドル)だが、その水準は当該郡における耕作地の平均地代のほぼ85%。地代が全米平均より2~3倍も高い中西部などの農業州では、極めて有利な〝農外所得″だ。支給総額は年間17.8億ドル(約2100億円)、農務省予算の8%近くに及ぶ。

一方、インフレ高進が政治問題化する米国では、食品業界を中心に小麦等の増産を求める動きが活発化し、これを支持する野党共和党議員の声も強まってきた。

ところが、ビルサック長官は前述したようにCRPの休耕地の部分的な生産復帰を否定。農務省がすでに開始した今年度のCRP(休耕の計画面積は138万ha、前年度実績の74%)の継続実施を改めて確認したのだ。
中間選挙の準備が進む地方選挙区では、農務長官の判断が与党民主党に対する格好の攻撃材料になるとの見方も伝えられるが、こうした危険を承知のうえでバイデン政権はなぜ穀物等の増産に消極的な姿勢を示したのか。

その背景には、市場が期待するほど米国の農産物輸出は伸びないとの危機感が農務省側にあったと推測される。増産誘導の政策によって過剰供給と価格下落の事態が11月の中間選挙前に起こるのを農務長官は恐れたのだ。

この関連で想起されるのがCRP創設の経緯だ。それは1970年代後半の過剰生産がもたらした80年代前半の農業危機。すなわち、過剰生産の抑制あるいは回避がCRPの基本的な目的なのだ。

大幅な減少もあり得る対中輸出量

ウクライナ戦争で米国の農産物輸出はさらに増えるとの〝期待″が穀物農家などの間で強まっているようだが、その期待が裏切られる可能性は否定できない。2021年に大幅増へ転じた農産物輸出にブレーキがかかりつつあるのだ。

世界的な景気後退による需要の落ち込みなど、悲観的な要因が日を追って増えてきた。ここでは特に二つの点に注目したい。

第1は急激なドル高。これによって米国の農産物の国際競争力が弱まっているのだ。

戦時下にあるウクライナは今後、小麦やヒマワリ種子等の輸出を激減させるとみられるが、これで米国の輸出が増えるとする情報は少ない。

小麦市場ではEU、オーストラリア、それにインドが輸出を増やす。特に注目されるのがインド。2020/21年度の輸出量250万トンを21/22年度には850万トンへ急増させると、米国農務省が予測する。

また、飼料穀物や油糧種子の市場では米国やブラジルなどがウクライナの〝穴埋め″をすると一般的には予測されるが、特にブラジルはその脆弱な通貨で競争力を増し、トウモロコシの輸出を大幅に増やして米国の輸出市場へ食い込むとの見方が増えてきた。

実際、激しいインフレに直面するEU諸国は南米諸国から割安の飼料穀物や大豆を買い増し、米国の対EU輸出が例年の勢いを失い始めている。

第2は次に示す中国の動きだ。

① ロシア産の小麦等を積極的に安値で買い付け、小麦の一部を飼料化して米国からのトウモロコシ輸入を減らす可能性が高い。

② 2020年1月締結の米中通商協定(第一段階合意)は21年末で期限が切れ、次の合意は目途が立たない。これで中国側には米国からの買付目標額という縛りがなくなり、輸入先の多元化はフリーハンドで進む。

③ 19年から米国産の飼料穀物や食肉の輸入を大幅に増やしたのは、中国でのアフリカ豚熱(ASF)蔓延という特殊事情があったからだ。しかし、中国の増豚対策はすでに終わり、豚肉供給は過剰へ転じている。

④ 食糧自給志向を強める中国は飼料穀物等の生産を増やす可能性がある一方、ゼロコロナ政策等による景気減速で輸入需要は後退し始めている。

米国:会計年度の最初の5カ月間における実際、米国農務省の貿易統計によると、22会計年度の最初の5カ月間(21年10月~22年2月)に、米国の対中農産物輸出は穀物価格の高騰もあって金額では昨年度同期比0.1%の微減だが、数量ベースでは20.3%の大幅減。穀物・飼料と大豆の輸出量がそれぞれ20.1%、19.8%減ったからだ(表参照)。

米中農産物貿易の潮目が変わったとの見方も浮上してきた。秋の中間選挙に向け、米国の農産物輸出を取り巻く状況は悪化するのか。生産資材の高騰に苦しむ農家経済と、都市部の急速な景気回復に遅れをとる地方経済に対し、バイデン政権はどのような打開策を打ち出せるのか。選挙までに残された日数は少なくなってきた。

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