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特集:緊急特集 TPP大筋合意―どうする日本の農業

2015.11.02 
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JA愛知東常務理事 海野文貴

 多くの国民や生産者が反対していたにもかかわらず、米国アトランタで行われていたTPP交渉が10月5日に大筋合意した。大筋合意への意見や今後の日本農業の在り方などについて、多くのご意見が寄せられている。これらのご意見を逐次掲載している。ちょうど20人目となる今回は、JA愛知東(愛知県)の海野文貴常務理事のご意見を掲載する。

◆なぜ前のめりに大筋合意したのか

 「過去最大の市場開放」「農業総自由化」と題字が躍るTPP。その全容が明らかになってきた。
 農林水産品2328品目の内8割の関税を撤廃、その半数を即時撤廃というものであった。農家の不安をよそに対する手立ても「これから」。頼りの関税収入は1000億円近く減少と言われ、国の財政状況を勘案すると期待も下がる。
 なぜ、情報公開せずベールに包み、前のめりの譲歩をしてまで大筋合意されたのか。政権の経済政策が思うように進展しない「あせり」ではないか、という評論家もいる。

◆深刻度増す農業の時給バランス

 そもそも関税は幕末の開国により、関税を自国で自由に決められない不平等条約の締結により、国内産業は安い外国製品に押され国民生活は貧窮し、苦労の末「関税自主権」を獲得した。
 関税撤廃により、かつて隆盛を極めた林業や養蚕が衰退し、地方経済に大きな影響を及ぼした例がある。
 消費者にとって安い輸入農産物は確かに魅力的である。しかし、何より食糧の安全保障といわれる問題は、世界人口が70億人を超え、異常気象など人智の及ばない気象産業である農業の自給バランスが不安視され深刻度が増している。

◆協同の力で農業に夢と希望を

 第14回全国ホルスタイン共進会が北海道で開催され参加の機会を得た。そこで中学生位の少女が出場牛を管理する牛舎で牛と共に座り、牛の背中を丁寧に磨く穏やかな光景を目にした。酪農家にとって牛は家族であり、家族で力を合わせ愛情一杯に育てられた牛の乳は体に良いに決まっている、と思えた。
 中山間地の農業は、広大な大地で効率性を求めた土地利用型農業は向かない。安売り合戦は更なる安さへの連鎖となり、一過性のものとなりやすい。
 農産物は信頼を基に地元、近隣市場を中心に販売し、その上で更に外へと打って出る。あの少女が教えてくれた様に生産現場が分かり、顔の見える関係は安心で信頼につながる。輸入農産物が太刀打ちできない分野で、ファンづくりをすることが大切である。
 農業に夢と希望を持つ青少年が10年後20年後も農業を続けてくれるよう、協同の力で頑張っていきたいものである。

なお、皆さまのTPPに関するご意見を下記までメールでお寄せ下さい。

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