農政:緊急特集:日米貿易協定
【緊急特集:日米貿易協定】生産基盤の確立を急げ 三角修JA菊池代表理事組合長2019年10月21日
日米貿易協定はだれにとって「ウインウインの合意」なのかを検証するこの緊急特集の第3回は、畜産生産物がJA販売事業の約8割を占めるという熊本県のJA菊池の三角修組合長に寄稿していただいた。
日米貿易協定が最終合意された。その結果、コメは除外されたものの牛肉、豚肉についてはTPP11と同じ関税削減となった。牛肉は2033年9%、豚肉は2027年に最低関税率となる。いずれもせよ15年、10年で最低になるのだ。
リーマンショックで燃料、飼料が高騰し、JA菊池でも25億円にのぼる飼料、燃油高騰対策資金等の融資を行った。それがやっと終わろうとしているのに、今度は輸入量が年々増加することになる。10年、15年はすぐ来る。生産基盤を早く強くしないと外国産に飲み込まれてしまう。
JA菊池は283億円の販売高のうち、約8割が畜産生産物であり、227億円を占める。肥育、繁殖、育成、酪農、養豚等334戸で生産しており、1戸当たり7000万円の販売高となる。それを支えているのは、高齢者の力もあるが40歳以下が頑張っており、畜産農家の38%を占める。
これだけの高い割合は北海道とJA菊池だけではないかと自負している。若い後継者には技術指導、経営指導等の研修機会を多くつくり、鍛えることが大切だと思っている。外圧に負けない、しっかりとした生産基盤をつくるためには、"人を育てる"ことが一番である。
これから15年後には関税がゼロになり、また最低になるとJA菊池では12億円から25億円の販売高減少が見込まれる。これに対処できる生産基盤を確立することが、食料自給率の向上にもつながるものと考える。国には畜産クラスター事業、産地パワーアップ事業等の継続と同時に、農家にとって使い勝手がいいようにしてしていただきたい。
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