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農政:緊急特集・衝撃 コロナショック どうするのか この国のかたち

【衝撃 コロナショック どうするのか この国のかたち】金子勝 立教大学特任教授:東アジア型に新型コロナ対策を転換せよ2020年4月27日

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立教大学特任教授 金子勝

徹底検査、GPS個別追跡、専用病棟建設による隔離

 緊急事態宣言が全国に拡大され外出自粛が要請されている。しかし、これで感染が収束に向かうのか。新型コロナウイルス感染症に対するこれまでの政府の対策の問題点と、緊急に転換すべき方向を金子勝立教大学特任教授が提言する。

◆外出自粛で感染はおさまるのか

立教大学特任教授 金子勝 氏 政府の新型コロナ・ウイルスの感染対策は本当に正しいのか。
 否だ。4月7日、政府が「緊急事態宣言」を出した際に、専門家会議は、接触を8割削減すれば、1ヶ月で感染は減ると主張した。だが、具体的な根拠は示されていない。実際、リーダーが事態を甘く見て検査が少なかったアメリカやイギリスでは、ロックダウンをしたにもかかわらず、感染数も死者数も爆発的な増加が止まらないからだ。4月25日時点で、アメリカは感染者が96万人を超え、死者も5万4000人を上回った。またイギリスは感染者数は14万8000人を上回り、死者数は2万人を超えた。
 一方、中国の統計には疑義が出ているが、韓国、台湾、香港など東アジア諸国では感染者数が一桁まで減っている。マレーシアでも日本を追い抜いて事態を改善させている。
 東アジア型と言われる国々は欧米諸国の方式とどこが違うのか。第1は、韓国がドライブスルーを実施したように早期から大量のPCR検査を実施した。第2に、GPSを使って感染者を個別追跡して感染の拡散を防止した。第3に、医療崩壊を招かないように感染症対応の専用病棟を建設したことである。
 これまで、日本は米英両国と並んで検査が少なく、感染者数も少ない国だった。しかし、急速に感染者数と死者数が増加するパターンをたどっているにもかかわらず、日本政府も専門家会議も欧米型の間違った対応に拘泥し、事態を悪化させている疑いがある。

◆失敗を反省せず、責任をとらない

 政府と専門家会議はクルーズ船以来、「入国拒否」「一斉休校」「緊急事態宣言」と、あたかも「果断な措置」をとっているかのように「やっている感」を演出しているだけで結果はかんばしくない。自らの失敗を認めず、誰も責任をとっていない。すると、さらにひどい失敗を繰り返すという泥沼に陥ることになる。
 1月31日に、アメリカ政府が中国の入国拒否を発表したとたん、安倍政権は入国拒否をとった。しかし、入国を拒否しても、乗員乗客は新型コロナ・ウイルス感染の危険性がある以上、すみやかに検査を実施し、感染者を適切に隔離し、監禁状態を解除すべきだった。
 ところが、加藤勝信厚労大臣は「空気感染の恐れはないから一般病棟でよい」とか「防護服ナシで十分だ」とか発言し、公私混同で問題になっている大坪寛子厚労省審議官は「湖北省以外は検査しなくてよい」と述べていた。加えて、次々と感染者数が増加しているにもかかわらず、専門家会議座長の脇田隆宇感染症研究所長らは、クルーズ船の監禁の始まった2月8日に、国立感染症研究所で対策会議を開催した際に、ロッシュのPCR検査に対してLAMP法の検査機器の開発を進めるという議論を繰り広げ、クルーズ船での検査が遅れていった。その結果、4月24日時点で712人が感染、13人が死亡した。途中2月16日以降、アメリカをはじめ香港、オーストラリア、韓国などが救出のためにチャーター機を次々派遣した。海外メディアは日本政府の感染対策を批判したが、菅官房長官や加藤勝信厚労大臣らは「隔離は適切」に行われたと言い張った。その結果、2週間隔離もないまま帰宅させたために、次々と全国に感染をばらまいてしまった。
 その後も、専門家会議は「37.5度の発熱が4日間」続いたら、「帰国者・接触者相談センター」か「肺炎専門病院」を通して検査するという検査制限を課した。そのため、3月2日に「一斉休校」措置をとったものの、感染経路が追えない隠れ感染が増加してしまった。さらに東京オリンピック延期の決定が遅れたために、対応が後手後手になった。
 4月7日に「緊急事態宣言」を発したが、すでに隠れ感染が多発して病院の院内感染が頻発し、医療崩壊が起き始めた。新型コロナの疑いのある患者はたらい回しになるだけでなく、一般の患者の手術や入院も受け入れられなくなったのである。
 いまや東京と大阪は隠れ感染者数が急増しているが、その対策も首をかしげることばかりだ。厚労省によれば、1月15日~4月21日の間、東京都は検査数が9827人のうち陽性は3747人である。陽性率は実に38.1%にも及ぶ。全国平均の10.1%と比べると、約4倍である。東京都は民間機関の検査が増えているというが、追いついていない。慶応病院が入院する患者に改めて検査をしたら、陽性率が6%であった。症状がひどい人しか検査をしていなかった結果、軽症の人か無症状の人は放置され、隠れ感染者が大量にいるために、東京を中心にして全国各地の地域の基幹病院で院内感染が引き起こされているのである。

◆深刻な医療崩壊を招いた小池都政

 問題はあちこちの基幹病院で院内感染が起きているにもかかわらず、小池都知事は医療崩壊に抜本的対策をとっていないことである。和歌山県知事や大分県知事のように徹底検査を行って地域基幹病院を回復させたのとは対照的な事態である。院内感染によって基幹病院の崩壊が起きると、誰が感染しているか分からないので、新たな患者を受け入れられなくなり、他に重篤な病気や怪我があっても受け入れられなくなる。とくに基幹病院が崩壊すると、医療全体が壊れていまい、オーバーシュートが起きるのである。
 にもかかわらず、医療従事者と患者を含む感染者数が(4月18日時点で)187人、死者を24名も出した永寿総合病院や、感染者94名を出した中野江古田病院といった地域の基幹病院で集団感染を出しているにもかかわらず、東京都は発表が遅れた。隠蔽が疑われても仕方がない事態だった。さらに都立大塚病院、都立駒込病院、都立墨東病院といった都立病院も院内感染が起き、医療崩壊寸前までになっている。
 ところが、小池都知事は東京オリンピックの延期が決まったとたん、いきなり「東京封鎖」と言い出し、人々を驚かせて、医療崩壊をもたらした自分の責任棚上げを図った。東京オリンピックを強行するために、検査せずに感染を小さく見せていたのではないかとの疑惑も生じた。
 しかも、検査データも示せずに、根拠曖昧なまま飲食業、遊興業に休業要請をしたり、スーパーへの買い物自粛を押しつけたりしている。感染拡大はあたかも自粛に協力しない都民のせいであるかのように、すり替えている。そして、都知事選前にもかかわらず、「私が出る」という条件で都税9億円を使ってテレビCMを行い、上から目線で都民に自粛を求める政策を自己宣伝しているのである。もちろん、外出自粛で自宅にとどまっていても、家庭内感染や院内感染や高齢者施設の感染から二次感染、三次感染が次々と拡大していく可能性が高い。武漢の二の舞である。
 では、小池都政は、なぜ欧米諸国で失敗した政策をとるのか。その一因は、ブレーンであり専門家会議の一員である国立国際医療センターの大曲貴夫医師が、2月28日付の『ウェブ論座』で書いた「追い詰められる医療現場 新型コロナ治療最前線医師に聞く、医療崩壊を防ぐポイント」の中で、多くの人が病院に検査に来ると医療崩壊をもたらすという検査制限論を展開していたためである。もちろん、先に述べたように、この検査制限がもたらした事態はまったく逆であった。まさに小池・大曲は東京の医療崩壊の戦犯なのである。

◆東アジア型への政策転換が必須だ

 このまま5月6日に「緊急事態宣言」を延長しても問題が解決できないだろう。外出自粛路線は日本経済に破滅的影響を及ぼす。その点、感染封じ込めに成功している韓国や台湾や香港などの東アジア型では外出自粛路線をとっていない。もはや新型コロナ・ウイルス対策の抜本的転換を図るべきことは明らかだ。
 まず第1に、基幹病院を軸にして医療従事者を守るために膨大検査を実施し、基幹病院の建て直しを図る。
 第2に、ドライブスルー検査を大量に実施し、陽性者は専用病棟を建設して収容し、アビガンを早急に飲ませて隔離することが必要だろう。
 第3に、二次感染三次感染が増え、かつ<人→人>でなく<人→物→人>で感染するので、初期と違ってクラスターとか「三密」は意味がなくなっている。代わって膨大な検査をしたうえで、GPSによる個別追跡が必須になる。これによって全面自粛を避けることができるからである。
 ただし、プライバシー保護に配慮しなければならない。陽性者については、健康保険番号やマイナンバーと切り離して携帯番号を感染番号化して匿名化することが必要だ。また、時限立法として、最終的な番号消去の責任者を指名し、清新な専門家にリーダーを変えていくことも必要だろう。現在、「盗聴法」のように公安警察が通信傍受できたり、リクナビやベネッセのように個人情報を売買したりする法律違反には厳罰を設けることである。これを機に、新しい情報人権を確立するのである。
 ことは人命に関わっている。バイアスを排して優れた方式を選び直さなければならない。
 

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