農政:全国会議員に聞く「どうするのかコロナ危機」
枝野幸男 立憲民主党 衆議院議員【緊急特集 全国会議員に聞く「どうするのかコロナ危機」】2021年9月13日
枝野幸男 立憲民主党
○枝野幸男
○立憲民主党代表
○衆議院議員
○選挙区:埼玉県5区
○出身地:栃木県
【1】現在の政府のコロナ対策についての評価
(1)ワクチン接種の問題点と今後の課題
7月以降、ワクチン需要に供給量が追いつかなくなり、集団接種の中断、予約受け付け停止が相次ぎ、職域接種も中断を余儀なくされるなど、政府の想定の甘さとワクチンの供給状況の的確な説明の不足が大きな混乱をもたらしました。ワクチン接種の希望者が、一刻も早く、一人でも多く、安心・安全そして円滑・確実に接種できる体制と環境を整備することが急務です。ワクチンの確実な供給に努めるとともに、供給するワクチンの種類・配分量、日程等を、可能な限り早期に具体的に確定させます。ワクチンの接種体制確保のための財政支援を強化するとともに、現場の自治体や医療機関等のそれぞれの状況に丁寧に寄り添い、国としてのあらゆる資源を総動員した支援策を強化します。
ワクチン接種の意義、ワクチンの有効性及び安全性、副反応情報、健康被害が生じた場合の予防接種法に基づく救済制度など、正確かつ具体的な情報を迅速かつわかりやすく伝えるとともに、接種についての疑問や副反応の不安等について誠実に答えるようにします。
2回のワクチン接種を終えた後、教訓と課題を検証し、ブースター接種などの今後の接種に活かしてきます。また、ワクチン接種が進む一方、接種の有無による誹謗中傷や差別、行動制限、職業上の制限などがないようにしなければなりません。いわゆるワクチン・パスポートについても、接種をできない人や受けない人が差別的な扱いをされないよう、慎重に対応します。
(2)医療体制の問題点と今後の課題
全国で自宅療養者が10万人を超えるなか、事実上の「自宅放棄」という最悪の事態に陥り、国民の命が未曾有の危機にさらされています。新型コロナウイルスの中等症患者については、従来通り「入院して加療を行う」という原則を堅持し、都道府県を越えて患者を受け入れる体制や医療従事者を融通し合う体制の整備、臨時の医療施設の設置、宿泊療養施設の確保などにより、必要かつ十分な医療を受けられるようにすべきです。様々な手を尽くしても、やむを得ず患者が自宅療養する場合には、確実に訪問診療等を受けられる体制や、自宅療養中に容体が悪化した場合に、迅速に対応し、確実に入院できる体制を整備すべきです。
(3)国民生活や経済活動の規制(「外出自粛」「営業自粛」「リモート作業」等)への補償
政府の経済的支援策は、営業を自粛した場合の十分な支援策とはなっていないため、仕方なく営業を行う事業者も見受けられます。営業が続けられれば、人の流れも抑制できず、感染を十分に抑え込むことができなくなっています。その結果、感染抑制と感染拡大の波が何度となく繰り返され、社会経済活動の制約が長期にわたり、国民生活や経済に深刻な影響を与えています。感染防止対策と医療支援、そして生活者・事業者支援を集中的に展開し、感染拡大の波を十分に収束させ、その状態を継続させることで感染を封じ込め、通常に近い生活・経済活動を取り戻さなければなりません。
(4)検査体制の拡充について
感染症対策は、まず感染者を早期発見し隔離することから始まります。また、新たな感染者から感染ルートを解明するという「積極的疫学調査」が重要ですが、十分な検査がなされなければ、感染ルートを解明できるはずがありません。
検査を十分に行うため、行政検査の対象者を拡大して濃厚接触者の濃厚接触者を対象に含めること、エッセンシャルワーカーに対する検査制度の構築、自主的に検査を受ける人に検査費用について必要な援助を行うこと等を行うべきです。
【2】今後のコロナ対策についての提案
政府は、初動や感染拡大期においても徹底した検査、医療支援、事業者支援などの取り組みが不十分でした。また宣言解除の基準も甘かったため、リバウンドが何度も繰り返されました。ワクチン確保の遅れや、所管大臣の役割が不明確であるという司令塔の複雑化も問題です。通常に近い生活・経済活動を早期に取り戻すため、コロナ対策の再構築が必要です。
まず、国際行事の日程や政治日程に振り回されてきた政府の対策を、国民の命と暮らし最優先の対策に改めます。新規感染者数が減少局面にあるときだからこそ、あらためて人流を抑制し、人と人との接触機会を一定期間抑制するとともに、検査を拡大し、ワクチン接種を加速させ、感染を封じ込め、さらなる新規感染者数減少をはかります。そのため、入国管理の厳格化など水際対策の強化や、低所得世帯や収入が大幅に減収した世帯等に1人10万円給付、給付要件を緩和した上での新持続化給付金の給付、家賃支援給付金の再給付など、必要かつ十分な追加の経済支援によって、人流抑制を実現し、新規感染者を減らします。同時に、医療機関支援を強化することにより、保健所や医療機関が本来有する検査や治療の機能を回復させ、「救えるはずの命を救う」とともに、その後の社会活動の早期回復を図っていきます。
【3】コロナ禍で見えてきた日本の政治のあり方について思うことがありますか?
国民のいのちと暮らしを守り、事業を守るべき政治が機能せず、十分な支援を受けられないままの状態が続いています。国民との信頼関係を取り戻し、国民のいのちと暮らしを守る政治へと転換しなければならないと強く感じています。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(156)-改正食料・農業・農村基本法(42)-2025年8月23日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(73)【防除学習帖】第312回2025年8月23日
-
農薬の正しい使い方(46)【今さら聞けない営農情報】第312回2025年8月23日
-
イタリア旅行の穴場 ブラッチャーノ湖とアングイッラーラ【イタリア通信】2025年8月23日
-
【注意報】早植え、普通期水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 熊本県2025年8月22日
-
【役員人事】JA全中(8月21日)2025年8月22日
-
JA全中専務に秋吉亮氏が就任(8月21日付)2025年8月22日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】コメ騒動の消費者側の要因2025年8月22日
-
(449)フードセキュリティの盲点:食卓を握る冷蔵・冷凍技術【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年8月22日
-
【JA人事】JAにしたま(東京都)新組合長に中村勝司氏(6月25日)2025年8月22日
-
ジェラート「カザロ」12周年祭 特別価格や限定商品、試食も JA全農福島2025年8月22日
-
新たなブランド米「白銀のひかり」 を視察研修 岩手県JA稲作部会連絡協議会2025年8月22日
-
「福岡県産ぶなしめじ・えのきフェア」25日から開催 JA全農2025年8月22日
-
「AMAZING COFFEE」とコラボ みのるダイニング札幌で限定アイテム販売 JA全農2025年8月22日
-
なめらかな食感と濃厚な味わいのイチジク「博多とよみつひめフェア」開催 JA全農2025年8月22日
-
「もしもFES渋谷2025」に「ザブトン教授の防災教室」を出展 JA共済連2025年8月22日
-
JA兵庫南特産「志方いちじく」予約販売開始 先着20人限定で300円OFF2025年8月22日
-
銘柄米の表示管理・偽装対策のDNA検査 新たに15品種を追加 ビジョンバイオ2025年8月22日
-
エコ農産物のPR販売拠点 今秋、都心にオープン 東京都2025年8月22日
-
2025年度研修No.5「間違いだらけの環境制御」開催 千葉大学植物工場研究会2025年8月22日