植物防疫に貢献、3人の研究者を表彰 報農会2013年9月27日
植物防疫の発展に向けた人材育成、研究、交流などを支援している報農会は9月26日、東京・王子の「北とぴあ」つつじホールでシンポジウム、同所「天覧の間」で功労者表彰を開いた。
◆EU、化合物の7割が登録削除
シンポジウムでは、各研究機関や農業資材メーカーが、植物防除の最新の話題などについて紹介した。
農薬工業会の横田篤宜氏は「EUにおける農薬事情」をテーマに講演。EUでは、2011年6月に新たな農薬規則、農薬指令が発行され「疑わしきは罰すべし」という予防原則に則った方針に変わった。今年5月にネオニコチノイド系農薬3剤(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)の使用制限を決めたことも、そうした考え方に基づくものだ。
横田氏は、1993年に欧州連合がEU登録制度を導入してから、EU加盟国で登録のあった化合物の約7割が登録削除となり、さらに2011年の規則発行により、現在も登録のある化合物の約1割が登録削除になるとの予測があることを紹介。「今後、適切な防除資材である農薬がなくなり、農業や食糧生産に多大なる影響を及ぼす恐れがある」との危惧を述べた。
(写真)
パネルディスカッションでの風景
◆農薬開発や適正使用に貢献
シンポジウム後には、功労者表彰式を行った。
これは、植物保護で長年“縁の下の力持ち”として活躍してきた研究者などを表彰するもので、過去27回で合計90人を表彰してきた。
今年は、東勝千代さん(和歌山県農業試験場)、多久田達雄さん(島根県農業試験場)、吉田桂輔さん(福岡県農業試験場)の3人が受賞。多久田さんは、「現場に密着がモットー。大変な評価を受けて嬉しい」とあいさつした。 来賓では、農薬工業会の神山洋一会長(日本農薬代表取締役社長)があいさつ。「(3人の功績は)新規農薬の開発や農薬の適正使用の普及につながっている。3名が働かれていた時代の農業は、食糧増産一辺倒から変化していった時代。困難な時代に、現場からの要請に的確に対応された努力に敬意を表したい」と祝辞を述べた。
(写真)
(上から)多久田さん、吉田さん(東さんは欠席)。
(関連記事)
・IPM、農家の我慢が大事 日植防シンポジウム(2013.09.20)
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