農薬:防除学習帖
果樹の防除8 夏季の防除【防除学習帖】第97回2021年4月9日
果樹は、ほとんどの樹種に防除暦があり、それに従って防除を行えば一定の防除効果が得られる。防除暦には、時期別(生育ステージ別)に重要な防除のコツが記されており、それらは、樹種別に地域における気象や病害虫雑草の発生状況をよく吟味して、最も安全に高い防除効果が得られ、品質の良い果樹が生産できるように作成されている。
これが果樹は防除暦に従って防除すれば安心であるという理由の1つである。
ここ数回に渡り、生育期の防除のポイントを紹介しているが、この生育期間中の時期については、防除暦それぞれで表記のしかたが微妙に異なることを承知しておいてほしい。実際に記載されている防除時期には○月△旬などと具体的に記載されていることが多いが、これは、その防除暦が対象とする地域に対応した時期であり、同じ樹種であっても異なる地域では合致しないこともあるので注意してほしい。これは、防除適期が樹種や地域の生育状況や病害虫の発生状況によって異なってくるためなので、本稿では具体的な月・旬は記載していない。実際の防除適期は、それぞれの地区は部会などで発行されている防除暦で確認するようにしてほしい。
1.夏期の防除
梅雨が過ぎると、病害虫によっては一気に発生が多くなるので、防除を徹底してほしい。また、台風やゲリラ豪雨の襲来も多くなる時期でもある。特に、台風は風雨を伴うため、果樹の果実や枝葉が傷つき、傷口から入る病害が増えるので、注意が必要だ。
(1)夏期防除の意義
暑いこの時期は、特に繁殖に適した気象条件が続くこともあり、害虫が一気に増えてくる。春期に防除しきれなかった病害虫を、大増殖前に徹底して防除できるかが、収穫の出来栄えに影響する。この時期は、枝葉も繁茂し、水量も多く必要で防除が大変な時期ではあるが、散布漏れを出さないよう均一な散布を心掛ける。
(2)注意事項
繁茂状態や散布方法によっては、散布漏れが起こりやすい時期でもあるので、散布機の調整等は確実に行う。また、夏場で日照もきつく、薬剤によっては薬害が懸念される場合も多いので、使用する薬剤の注意事項を予め良く確認してほしい。
(3)夏期の病害虫と防除法
夏期に発生が多くなる病害虫の主なものは以下のとおりである。
基本的には、防除暦記載の薬剤を指示された適期を逃さないように散布する。
毎度のことであるが、耕種的防除の記載がある場合は、できるだけ多く取り入れて実行し、フェロモン剤が有効な害虫の場合は、産地全体など広範囲に設置するとより効果が安定する。
この時期は、害虫の繁殖が旺盛で爆発的に増える時期であり、もし大量増殖を許すと防除が難しくなる。このため、害虫の密度を低位に保つよう殺虫剤の定期的な予防散布が重要である。
また、細菌の繁殖条件(高温、多湿)を満たすことから細菌病が増えてくる。細菌は、自分では侵入できず、台風後の傷口など開口部から侵入するので、台風が来る前に風よけを設置したりしてできるだけ傷口ができないにするとともに、銅剤などの細菌病に効く予防殺菌剤を台風が来る前に散布するようにしてほしい。この台風などへの対処法は、定期防除の他に臨機防除や緊急防除といった表記で示されているので、それに従うようにしてほしい。
重要な記事
最新の記事
-
米の作況指数の公表廃止 実態にあった収量把握へ 小泉農相表明2025年6月16日
-
【農協時論】米騒動の始末 "瑞穂の国"守る情報発信不可欠 今尾和實・協同組合懇話会委員(前代表)2025年6月16日
-
全農 備蓄米 出荷済み16万5000t 進度率56%2025年6月16日
-
「農村破壊の政治、転換を」 新潟で「百姓一揆」デモ 雨ついて農家ら220人2025年6月16日
-
つながる!消費者と生産者 7月21日、浜松で「令和の百姓一揆」 トラクターで行進2025年6月16日
-
【人事異動】農水省(6月16日付)2025年6月16日
-
3-R循環野菜、広島県産野菜のマルシェでプレゼント 第3回ひろしまの旬を楽しむ野菜市~ベジミル測定~ JA全農ひろしま2025年6月16日
-
秋田県産青果物をPRする令和7年度「あきたフレッシュ大使」3人が決定 JA全農あきた2025年6月16日
-
JA全農ひろしまと広島大学の共同研究 田植え直後のメタンガス排出量調査を実施2025年6月16日
-
生協ひろしま×JA全農ひろしま 協働の米づくり活動、三原市高坂町で田植え2025年6月16日
-
JA職員のフードドライブ活動で(一社)フードバンクあきたに寄贈 JA全農あきた2025年6月16日
-
【地域を診る】「平成の大合併」の傷跡深く 過疎化進み自治体弱体化 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年6月16日
-
いちじく「博多とよみつひめ」特別価格で予約受付中 JAタウン2025年6月16日
-
日本生協連とコープ共済連がともに初の女性トップ、新井新会長と笹川新理事長を選任2025年6月16日
-
【役員人事】日本コープ共済生活協同組合連合会 新理事長に笹川博子氏(6月13日付)2025年6月16日
-
【役員人事】2027年国際園芸博覧会協会 新会長に筒井義信氏(6月18日付)2025年6月16日
-
農業分野で世界初のJCMクレジット発行へ前進 ヤンマー2025年6月16日
-
(一社)日本植物防疫協会 第14回総会開く2025年6月16日
-
農業にインパクト投資を アンドパブリックと実証実験で提携 AGRIST2025年6月16日
-
鳥取・道の駅ほうじょう「2025大大大スイカフェスティバル」22日まで開催中2025年6月16日