農作物を食べた野生ニホンジカは早く成熟 農研機構など研究グループ2021年5月11日
農研機構、森林総合研究所、中央大学の研究グループは、野生ニホンジカの成熟が農作物を食べることで早まることを、シカの骨コラーゲンの窒素安定同位体の比率(δ15N値)の解析から明らかにした。シカの農地侵入防止対策や農作物を食害する個体の駆除が、将来の農業被害の抑制にも有用であることを示している。また、同値はシカの農作物依存度の指標とて有効だったことから、農作物を食害する個体の特性解明とシカ被害対策手法の開発への活用が期待できる。
収集したシカ標本
調査地でシカが採食する主な農作物および農地外の植物のδ15N値
シカ類による農作物の食害は日本を含む世界各地で確認されており、シカの増加とともに農業被害が深刻になっている。農作物は栄養価が高く、シカにとって格好の食物だが、農作物の採食がシカの成長や繁殖にどのような影響をもたらすかは不明。これを明らかにすることは、地域に生息するシカ個体数の変動をより正確に予測し、効果的な被害対策手法を開発する上で重要となる。
研究グループは、野生ニホンジカの骨に含まれる骨コラーゲンのδ15N値が、シカの農作物依存度の指標として有用であることを示すとともに、農作物採食が4歳以下の若齢シカの成長を促進。その結果、妊娠率が上昇することを明らかにした。農作物採食によるシカの「早熟化」は、シカの増加を促進している可能性が示唆された。同研究成果は、アメリカ生態学会発行の科学誌「Ecosphere」で、4月23日に発表された。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日