2021年の花き業界 人気色は黄色から赤・ピンクへ変化 第一園芸2021年12月23日
第一園芸は、コロナ禍における2021年の花き業界の変化をまとめた。法人では花を社員とのコミュニケーションツールとして活用する動きが広がり、小ぶりのスプレー咲きの花が人気。花色は昨年の黄色から、ニュアンスカラーやピンク、赤色に変化している。
ニュアンスカラーや赤・ピンクの花の人気が復活
法人の花の利用用途は、従来はお祝いでの花贈りが多い傾向だったが、コロナ禍を機に花が新たなコミュニケーションツールとしての役割を担い始めている。同社では様々な法人向けにワークショップを展開しており、利用企業の中には、コロナ禍で出社が減ったため、福利厚生の一つとして社員の自宅に花を送り、好きな時間に動画を見ながらアレンジメントを作る取り組みを始めた企業もある。また、別の企業では、リモート入社式を行うにあたり、事前に社員の自宅に花を届け、その花を眺めながら入社式を行うという取り組みも行われた。
個人用では、自家需要の増加や定期販売のサブスクリプションの登場で小型の花が求められる傾向にある。家で過ごす時間が増え、自宅に花を飾る需要が増えたことで、狭いスペースでも華やかに飾れる、小ぶりの「スプレー咲き」タイプの花の取扱数量が増加。こうした花は、ポストに花が届くサブスクリプションのサービスでも多く使われているとみられ、今後も需要が高まるとみられる。
また、2020年は元気が出るような黄色い花の需要が高まったが、2021年の東京都中央卸売市場での月別平均取扱数量の前年対比をみると、ニュアンスカラーや赤・ピンクが上位を占めるようになった。緊急事態宣言が解除され日常生活が戻りつつある中、人々の気持ちが少しずつ明るく前向きに変化していることが推測される。
母の日ギフトは原点回帰傾向でカーネーション鉢の人気が復活
近年、母の日の花鉢はカーネーションからアジサイへと人気が移りつつあったが、2021年の母の日はカーネーションの鉢植え人気が復活。同社の店舗における取扱数量も昨年実績の約3倍となり、市場で追加注文が受けられない状況となった。人気の花の色が黄色からニュアンスカラーや赤・ピンク系へと変化したことも影響したのか、母の日=カーネーションという母の日ギフトの原点回帰傾向が読み取れる。
また、同社が7月に行った調査では、全体の6割強が「観葉植物に興味がある」と回答するなど観葉植物の需要が高まっている。コロナ禍以前は、1~2月と7~8月は生産の閑散期で、作付けを行う期間だったが、2021年は2月以降から観葉植物が売れ続けた結果、生育サイクルが合わずに品不足になることもあった。卸売平均価格も前年度比114%と上昇しており、現在も需要拡大に対し生育サイクルが合っていない状況は続いている。
婚礼需要が復活し、白い花が品薄に
2020年は葬儀・ブライダル・宴会などの業務用需要が減り、花の出荷量が前年対比91~93%程度まで減少したが、10月の緊急事態宣言解除に伴い婚礼需要が復活したことを受け、秋頃から白系の花を中心に卸売価格が上がるなど品薄状態が続いている。
2021年の花のトレンドについて同社で生花仕入を担当する山下瞬さんは「コロナ禍が落ち着てきた秋以降、元々人気のあったニュアンスカラーやアンティークな色合いの花が戻ってきた。花の品種もドライフラワーにもなる、乾いた質感のスターチスやユーカリから、バラやランなどの瑞々しさのある花や、繊細な質感のスカビオサなどへとトレンドが移っている」と分析。また、最近の傾向として「80年代に主流だったアルストロメリアやグラジオラス、スナップ(キンギョソウ)が品種改良され、再ブームが到来しそうな予感。音楽がそうであるように、80年代の花がZ世代には新鮮に映るのでは」とコメントしている。
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