日本で34年ぶり 新種のハチを発見 豊橋市自然史博物館2022年5月25日
愛知県豊橋市の自然史博物館で資料整理ボランティアとして活動する森下俊介さん(38)は、神奈川県立生命の星地球博物館の渡辺恭平学芸員との共同研究で、新種のハチ2種を発見した。ヒラタアブヒメバチの仲間としては、日本で34年ぶりの新種発見となる。この研究論文は、昆虫学系では世界的に知られるドイツの学術専門誌に掲載された。
今回発見された新種のハチ「ウォルドステドゥティウス・アルピコーラ(メス)」(上)と同オス
今回発見された新種のハチの「ウォルドステドゥティウス・アルピコーラ」(Woldstedtius alpicola Morishita&Watanabe,2022)は、後ろ足の付け根部分の節が長いことが特徴。同じく新種の「ウォルドステドゥティウス・プンクタートゥス」(Woldstedtius punctatus Morishita&Watanabe,2022)は、背中の小盾板にある点刻という模様が強く出ていることが特徴だ。
今回発見された新種のハチ「ウォルドステドゥティウス・プンクタートゥス(メス)」(上)と同オス
森下さんは宮城県で生まれ、農業を志して2014年から豊橋市に移住。子どもの頃から昆虫が好きだったことから、自然史博物館の資料整理ボランティアとして4年ほど、20万以上の昆虫標本を分類ごとに整理している。ハチの研究は、職場に飛んできた1頭のヒメバチの名前を調べ始めたことをきっかけに、自然史博物館での活動の中で知識を深めた。現在では家にハチの標本が1万点以上あるという。
新種のハチを発見した豊橋市自然史博物館でボランティア活動をする森下さん
数年前からハチの研究活動で渡辺学芸員と交流を続けており、ヒメバチの標本調査のため渡辺学芸員の元を訪ねたところ、神奈川県立生命の星地球博物館内に不明種として保管されていたヒメバチと出会った。森下さんは初めてそのハチを見た際、「新種だ」と直感。ヒラタアブヒメバチの仲間は、ヒメバチ科の中でも新種が見つかりにくく、日本固有の種が少ない中、今回発見された2種は日本の固有種であると考えられている。
今回の快挙について、森下さんは「発見したときは狂喜乱舞した」と喜び、「地元に自然史博物館があったことが大きい。昆虫学を学んだことのない自分が、ボランティア活動を通して1から勉強することができ、研究者になれた」と話している。
自然に関する様々な資料の収集を続ける自然史博物館では、現在84人のボランティアが昆虫のほかにも化石や魚類など、様々な分野で教育普及や資料整理、調査研究などを行っている。2種の新種のハチの標本を展示は、5月29日まで。観覧は無料。ただし自然史博物館入場には、動植物公園入園料(大人600円、小中学生100円)が必要。問合せは、豊橋市自然史博物館(電話)0532-41-4747。
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