マダニリスクが高い森林の特徴が明らかに シカの密度と植生が鍵 森林総合研究所2022年11月24日
国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所は、複数の森林で人獣共通感染症を媒介する様々な種類のマダニと宿主となる野生動物の生息状況を調査。シカが多い地域でマダニが多く、その中でも局所的に下層植生が繁茂している場所で特に多いことを明らかにした。
旗ずり法で採集された布の上のマダニ。写真は体長約1センチのマダニ属およびチマダニ属の成虫
近年、ヒトやペットがマダニの媒介する人獣共通感染症に感染する事例が多数報告され、野外で活動する人々から同研究所への相談が増加。野外でマダニが多い条件を明らかにすることで、マダニのリスクを避け、野外でより安全に活動することができると期待される。
同研究では森林地帯に調査地を設定し、春から秋にかけて林道、林縁、林内でマダニの生息状況を毎月調査するとともに、マダニの宿主動物を自動撮影カメラで調査。その結果、シカの密度が高い地域ほどマダニが多いことが明らかになった。また、同一の調査地内では、下層植生が最も繁茂する林縁でマダニの密度も高いことがわかった。
同研究の結果は、シカを減らせばマダニも減ることを必ずしも意味しておらず、一度マダニが増えてしまうと、シカを減らしても別の動物を宿主とする可能性がある。そのため、マダニに刺咬されるリスクの低減には、シカを中心としてマダニの宿主として重要な野生動物の密度管理が重要となる。また、シカが多い地域の森林で、特に下層植生が繁茂している林縁に踏み入る場合は、服装をしっかり確認し、忌避剤を正しく使うことなど念入りにマダニ対策を講じる必要がある。
同研究成果は9月25日、国際学術誌『Journal of Medical Entomology』に掲載された。
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】チュウゴクアミガサハゴロモ 果樹園地で初めて確認 富山県2025年5月15日
-
【注意報】ムギ類赤かび病 多発リスクに注意 三重県2025年5月15日
-
"安心のお守り"拡充へ JA共済連 青江伯夫会長に聞く【令和6年度JA共済優績組合表彰】2025年5月15日
-
【地域を診る】観光・イベントで地域経済は潤うのか 地元外企業が利益吸収も 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年5月15日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】前回のトランプ政権との日米貿易交渉の失敗に学べるか(1)2025年5月15日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】前回のトランプ政権との日米貿易交渉の失敗に学べるか(2)2025年5月15日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】前回のトランプ政権との日米貿易交渉の失敗に学べるか(3)2025年5月15日
-
麦に赤かび病、きゅうりのアザミウマ類など多発に注意 令和7年度病害虫発生予報第2号 農水省2025年5月15日
-
パッケージサラダ7商品 を価格改定 6月1日店着分から サラダクラブ2025年5月15日
-
なぜ「ジャガイモ―ムギ―ビート」?【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第340回2025年5月15日
-
「イミダクロプリド」は農水省再評価前から自主的に制限 環境に調和した持続可能な農業へ バイエルクロップサイエンス(1)2025年5月15日
-
「イミダクロプリド」は農水省再評価前から自主的に制限 環境に調和した持続可能な農業へ バイエルクロップサイエンス(2)2025年5月15日
-
「JAグループ宮城 営農支援フェア2025」がラジオCMで告知 JA全農みやぎ2025年5月15日
-
いちごの収穫・パック詰め体験イベント開催 新規就農者研修も募集へ JA全農みやぎ2025年5月15日
-
就農希望者が日本の農業を"見つける" 2025年度の「新・農業人フェア」 農協観光と「マイナビ農業」2025年5月15日
-
JA三井リースが新中計「Sustainable Evolution2028」策定 課題解決で持続的成長目指す2025年5月15日
-
「NARO生育・収量予測ツール」にトマト糖度制御機能を追加 農研機構2025年5月15日
-
冷凍・国産オーガニックほうれん草 PB「自然派Style」から登場 コープ自然派2025年5月15日
-
独自品種でプレミアムイチゴ「SAKURA DROPS」立ち上げ 東南アジアの高級スーパーで販売 CULTA2025年5月15日
-
茨城の深作農園「日本さつまいもサミット」殿堂入り農家第1号に認定2025年5月15日