地球温暖化による雪崩への影響を広域で推定 森林総合研究所2022年12月26日
森林研究・整備機構森林総合研究所の研究グループは、地球温暖化による雪崩への影響を広域で推定。雪崩の発生頻度が低下する一方、一部の地域では起こり得る雪崩が大規模化する恐れのあることがわかった。
強度の弱い層が(a)新雪の場合と(b) こしもざらめ雪の場合に起こり得る雪崩の規模について
現在気候の場合と比較して温暖化気候の場合でどれだけ将来変化があるかどうかを予測した結果
同研究グループは、農林水産研究情報総合センターのスーパーコンピュータを用いたシミュレーションにより地球温暖化による雪崩への影響を推定した。その結果、雪崩が発生し得る不安定な積雪状態となる頻度は、北日本の広い範囲で将来減少傾向にあることが予測された。また、新雪を原因として発生する雪崩の規模は、南アルプス・中央アルプス周辺の地域や北海道大雪山周辺の一部山岳地域で10~70%増加すると予測(図a)。さらに、こしもざらめ雪を原因とする雪崩の規模は、北陸・新潟や北海道大雪山周辺の一部山岳地域で10~30%増加することが予測された(図b)。一方、一部の山岳地域では、発生したときの雪崩の規模が大きくなる可能性があるという予測結果が得られた。
これは地球温暖化が進むと全体的には雪崩の発生する頻度は減少するが、一部の地域では、一度発生すると広範囲に被害をもたらす大きな規模の雪崩になる可能性があることを意味する。これまでも過去の雪崩記録などから地球温暖化により雪崩は低頻度化すると考えられていたが、詳細な影響評価には至っていない。
同研究成果は、地球温暖化による雪崩への影響を見積もるうえで、頻度だけでなく規模にも注目するべきであることを示す世界初のものとなる。
同研究成果は10月6日、『Journal of Glaciology』誌でオンライン公開された。
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