「食品宅配市場」調査 コロナ禍を機に日常生活に定着し成長 矢野経済研究所2023年9月25日
矢野経済研究所は、国内食品宅配市場に関する調査を6~8月にかけて実施。業態別8分野の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
食品宅配市場規模
同調査では、2022年度の食品宅配市場規模(主要8分野合計値)は、事業者売上高ベースで前年度比102.3%の2兆5363億円と推計。コロナ禍で宅配需要が急増した2020年度以降の同市場は、国内人口の減少および少子高齢化の進行で概して国内の食関連市場が縮小傾向にあるなか、成長を持続している。一方、成長率については2020年度以降はコロナ禍以前の水準に戻っている。
少子高齢化や女性の社会進出など社会的要請を受けて、食品宅配サービスは年々その重要性を増してきた。食品宅配市場はコロナ禍での需要の高まりにより2020年度に市場が急拡大したため、その後の反動減が心配されたが、主要8分野のうち多くの業態で需要は高止まりしている。コロナ禍は食品宅配サービスが消費者の日常生活に根付くきっかけとなったといえる。ただし、商品やサービスの拡充により、異業種間のみならず業態間の競争も激化している。
注目トピックは「ミールキット(料理キット)」市場
レシピ(献立)と調理に必要な人数分の食材がセットになった「ミールキット(料理キット)」が好調を維持。中でもカット済みの肉や野菜と調味料をセットにしたキットが主流となっており、"手作り感"は欲しいものの、毎日の献立作りや買い物、調理には時間をかけられない現代人のニーズに応えた商品となっている。
「ミールキット(料理キット)」は従来、食材(惣菜)宅配市場の商品カテゴリーのひとつとして取り上げてきた商材だが、近年は生協やネットスーパーなどの業態でも参入が見られ、バリエーションが拡充し品質も向上している。メインユーザーは、家事(調理)の時短ニーズが高い子育て・共働き世帯だが、体力的に買い物や調理が困難な高齢世帯や、料理に不慣れであったり時短を求める単身世帯での需要も高まっており、参入各社は多様化するユーザーニーズに応える商品力の強化に取り組んでいる。
ミールキット(料理キット)の需要は大幅に増加したが、その背景には、調理にかかる手間の削減や時短のニーズに加えて、コロナ禍で在宅時間が増えたことで宅配需要が増し、昼食を含めて自宅で食事をする機会が増大したことが挙げられる。コロナ禍での行動制限が緩和され、徐々に外出・外食機会の増加に伴って成長率も落ち着きを見せているものの、2022年度のミールキット(宅配商品)市場は1800億円を超える規模と推計した。
将来展望
食品宅配市場は2022年度から2027年度(予測)までのCAGR(年平均成長率)が2.8%と引き続き順調に推移し、2027年度の同市場規模(主要8分野合計値)は2兆9074億円に達すると予測する。
コロナ禍を契機として急拡大した市場は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類へと移行し行動制限がなくなりつつある中でも成長を持続。食品宅配の日常的な利用が進むことで、消費者の生活にとって不可欠なサービスとして定着しつつある。
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