フードサプライチェーン各所で進むフードロス削減の取り組み 企業の取り組みに関する調査 矢野経済研究所2024年6月6日
矢野経済研究所は、フードロス削減の現状と市場を取り巻く環境について食品関連企業のみならず、周辺企業まで含め幅広く調査・分析を行い、日本におけるフードロス削減の全体像を明らかにした。ここでは、農家、JA内など生産現場における指定野菜14品目の2022年ロス量合計について公表した。

2019年に食品ロス削減推進法が施行され、国は2030年度までにフードロス(食品ロス)の発生量を2000年度比で半減させることを目標としている。生産から小売までのサプライチェーンの各所で生産体制や製造工程、容器包材の工夫、技術革新など様々な面からフードロス削減につながる取り組みが検討・実施されるようになっている。
さらに、近年はフードロス問題をビジネス(営利目的事業)として解決しようとするスタートアップ企業や、他業種から大手企業が参画する動きも出てきている。こうした動きとしては、販売期限が過ぎたものや余った食材などと消費者を結び付けるプラットフォームビジネスや、需要予測システムによる需給のマッチング、廃棄食材をアップサイクルする取り組みなど様々なアプローチが見られる。
フードロスソリューションビジネスにおいてその方向性は多岐にわたるが、大きくはロス素材そのものを出さないようにする取り組みと、出てしまったロス商材を有効活用する取り組みに大別される。前者としては、需給をコントロールして余分に作らないようにする「ロス素材リデュース・プロテクト型サービス」や、原料や商品を長持ちさせる「保存期間延長型サービス」が挙げられる。
後者としては、ロス素材を別のプロダクトに生まれ変わらせる「ロス素材活用型サービス」や、ロス商材と消費者を結びつける「ロス商材シェアリング・マッチング型サービス」が存在する。
フードロス削減に向けた取り組みは、環境、社会、経済の各側面で大きな成果をもたらす可能性を秘めており、今後も持続可能な社会の実現に向けて重要な役割を果たすことが期待される。
生産現場における "隠れフードロス" 量を推計
国の推計によるフードロス量には、製造業や外食産業で発生する事業系ロスや家庭での食べ残しなど家庭系ロスが含まれる。一方、規格外野菜など生産現場(農家、JA内)で発生するフードロスは統計に含まれていない。
2月から3月に指定野菜14品目の主要産地にあるJAに対して電話アンケート調査を行い(108団体から回答)、生産現場における指定野菜14品目の "隠れフードロス" 量の推計を行った。
指定野菜14品目のロス量合計は、2022年で65万3375トンと推計され、総収穫量に占める構成比は5.8%。内訳としては、大きさや色、形などが規格に適合しない規格外野菜などを中心に自家消費などにも回せなかった農家でのロス量が55万7406トン、集荷後にJA内で廃棄されたものやJAからの出荷後に返品されてきたJA内でのロス量が9万5969トンと推計した。
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