『農政の憲法』改正でどうなる 生協6グループが学習会 パルシステム2024年10月17日
国内で活動する生活協同組合6グループは10月11日、生産者と消費者で未来を考える学習会「食料・農業・農村基本法改正に伴う学習会―農業を守るために、消費者・生産者の声を反映させましょう!」をオンラインで開催。東京大学大学院の安藤光義教授による講演のほか、生産者や消費者からもそれぞれの視点から改正法の問題点が提起された。
「農政の憲法」と呼ばれる基本法が5月に、25年ぶりで改正され、年度内には、中長期的な指針となる基本計画が改定される見通し。同学習会は生協6グループの役職員、利用者のほか、生産者や取引先など関係者530人が参加した。
講演は、「『食料・農業・農村基本法』と今後の課題―見直しの経過にみる問題点と今後の政策の方向性―」をテーマに解説。冒頭、安藤教授は1972年の世界的な異常気象を機に発生した食糧危機から中東戦争、物価高騰へと続く世界の流れを振り返り、「現在の世界情勢と似通っていると感じませんか。歴史は繰り返されるかもしれない」と危機感をにじませた。
当時の日本政府は、稲作からの転換による小麦や大豆の増産政策を打ち出すが、最終的には農作物の自由化による物価安定を選び、食料自給率はさらに低下した。
改正された基本法については「新機軸になる政策はなく期待は薄い」と評価。その理由として、主要な政策として打ち出された「スマート農業」「中小規模経営を支援する農地法改正」などは、改正前から掲げられていたことを挙げ、「囲碁の対局前から石が置かれている状態」と例えた。
大きな検討課題のひとつ「食料安全保障」も、農林水産物の輸出の内訳がアルコール飲料(ウイスキー、清酒など)や調味料、菓子など加工食品に占められている現状を示し、「食糧危機が発生した場合に寄与できる品目ではない」と指摘した。
これらを踏まえた全体像について「農村政策はなく『みどりの食料システム戦略』も環境関連の施策と位置付けられた。農業のあり方を見直す社会転換の芽は摘み取られてしまったといえる」と述べ、「農業生産の現場からのボトムアップを対抗軸とし、全体のバランスを再び整えていく必要があります」と指摘した。
後半は、米作、酪農、畜産、有機農業に携わる生産者と、消費者の立場からそれぞれ問題提起された。
主催者代表として風間与司治・東都生活協同組合理事長は、「基本法改正案には、長年産直に取り組む生協6グループが合同で政府へ提言した。改正法には不十分なあり、実効性ある計画の策定が必要。これからも輪を広げながら活動を続けます」とあいさつした。
閉会では、大信政一・パルシステム生活協同組合連合会理事長が「学習会によって基本法の課題を整理し、知見を高めることができた。発言された生産者と消費者の声も基本計画へ反映できるよう、働きかけていきます」と話した。
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