来年の値上3千品目突破「値上げラッシュ」再燃の見通し 価格改定動向調査 帝国データバンク2024年12月2日
帝国データバンクは、12月と2025年以降における食品の値上げ動向と展望・見通しについて、分析を行った。値上げ品目は、2025年累計3933品目で、2024年を上回るペースで、「物流費」「人件費」由来の値上げが急増。12月の値上げは、パックごはんなど中心に109品目となる。
月別値上げ品目数推移
同調査によると、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした2025年の飲食料品値上げは3933品目を数えた。前年同時期に公表した2024年の値上げ品目見通し(1596品目)を大幅に上回った。2025年1月には1年半ぶりとなるパン製品の一斉値上げに伴い、単月として3か月ぶりに1千品目超の値上げが見込まれ、来春にかけて断続的な値上げラッシュが再燃する見通しとなった。
2025年は、1月以外にも2月・4月では今年11月末時点ですでに900品目超の値上げが予定されており、ともに単月で1千品目を超える可能性が高いとみられる。
値上げ要因の推移
2025年の値上げ要因では、2024年に続き「原材料高」(94.6%)などモノ由来の要因が多数を占める一方で、サービス面のコスト上昇を要因とした値上げ傾向が顕著にみられた。なかでも、トラックドライバーの時間外労働規制などが要因となった輸送コストの上昇分を価格へ転嫁する「物流費」由来の値上げは89.9%を占め、「原材料高」との差は4.7ポイントに縮小した。「人件費」は47.9%と24年通年(26.5%)から大幅に上昇し、最低賃金引き上げなどの影響を受けた賃上げを要因とする姿勢も目立った。
2024年12月の値上げでは、パックごはんやレトルトパウチ食品など109品目を数え、年内で最も少ない水準だった。2024年通年の値上げ品目数は累計で1万2520品目となり、年間の平均値上げ率は17%となった。10月は年内最大となる約2900品目の値上げが実施されたものの、年間を通じて値上げは抑制された状態が続き、前年比6割減の水準となった。
2025年4月までの値上げ、「酒類・飲料」「パン」で1千品目超
食品分野別に2025年(4月まで)の値上げをみると、「パン」(1227品目)では、年間を通じて断続的な値上げが発生した2022年(1494品目)・2023年(1663品目)と同水準で推移するとみられる。
「酒類・飲料」(1251品目)は、特に4月に缶ビールやチューハイなどアルコール飲料の一斉値上げが見込まれる。「加工食品」(1040品目)は冷凍食品や餅製品などで値上げ予定となり、2024年内に急騰したコメ価格の上昇を価格に反映する製品も目立った。
2024年12月では、パックごはんを中心に「加工食品」(91品目)が最多だった。
今後の見通し
2025年の値上げは、2024年のトレンドを引き継ぎモノ由来の値上げが多数を占める。その一方、物流費・人件費由来の値上げ割合が判明する1~4月分で2024年通年を大幅に上回るなど、値上げの主因はモノからサービスへと広がりつつある。
PBなど安価な代替製品への需要シフトや、値上げ後に購入点数が減少するなどの動きが定着したことから、2024年内は販売価格の積極的な引き上げが手控えられてきたものの、サービス価格の上昇が企業努力で対処可能な範囲を超えつつあることが、2025年に再び値上げラッシュが発生する主な要因になったとみられる。
食品分野別の値上げ品目数
2024年の値上げは1万2520品目となり、過去3年間で最も少ない水準となるなど値上げの勢いは総じて弱まった。他方で、2025年は食品フィルムやトレー、段ボールといった包装資材、ドライバーの働き方改革に伴う物流費の上昇、人手不足に伴う賃上げなどにより、人件費も当面は上昇基調での推移が見込まれる。
足元のコストプッシュ圧力は継続する可能性が高く、製品価格の引き下げや価格据え置きを維持可能な好材料は2024年以上に乏しくなる局面が予想される。
2025年は原材料高以外の要因による粘着質な値上げの継続が見込まれ、品目数は24年を上回って推移する可能性がある。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(140)-改正食料・農業・農村基本法(26)-2025年5月3日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(57)【防除学習帖】第296回2025年5月3日
-
農薬の正しい使い方(30)【今さら聞けない営農情報】第296回2025年5月3日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】「盗人に追い銭」「鴨葱」外交の生贄にしてはならぬ農産物2025年5月2日
-
【2025国際協同組合年】情報を共有 協同の力で国際協力 連続シンポスタート2025年5月2日
-
イネカメムシが越冬 埼玉、群馬、栃木で確認 被害多発の恐れ2025年5月2日
-
九州和牛をシンガポール人に人気のお土産に 福岡空港で検疫代行サービスを開始 福岡ソノリク2025年5月2日
-
就労継続支援B型事業所を開設し農福連携に挑戦 有機農家とも業務提携 ハピネス2025年5月2日
-
宮崎ガス「カーボン・オフセット都市ガス」 を県庁などに供給開始 農林中金が媒介2025年5月2日
-
5月29日から「丸の内 日本ワインWeeks2025」開催 "日本ワイン"を学び、楽しむ3週間 三菱地所2025年5月2日
-
協同心の泉 大切に 創立記念式典 家の光協会2025年5月2日
-
【スマート農業の風】(14)スマート農業のハードルを下げる2025年5月2日
-
(433)「エルダースピーク」実体験【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年5月2日
-
約1cm程度の害虫を強力捕獲「吊るしてGET虫ミニ強力タイプ」新発売 平城商事2025年5月2日
-
農中情報システム 自社の導入・活用のノウハウを活かし「Box」通じたDX支援開始2025年5月2日
-
洗車を楽しく「CRUZARD」洗車仕様ホースリールとノズルを発売 コメリ2025年5月2日
-
戦後80年の国際協同組合年 世代超え「戦争と平和」考える パルシステム神奈川2025年5月2日
-
生協の「地域見守り協定」締結数 全市区町村数の75%超の1308市区町村に到達2025年5月2日
-
ムコ多糖症ニホンザルの臨床徴候改善に成功 組換えカイコと糖鎖改変技術による新型酵素2025年5月2日
-
エフピコ×Aコープ「エコトレー」など積極使用で「ストアtoストア」協働を拡大2025年5月2日