パルシステム若者応援基金 児童養護施設で暮らす「普通の子ども」の今を報告2025年12月10日
パルシステム若者応援基金は12月3日、社会的養護下の子どもたちの現状を聞くオンライン学習会を開催。社会福祉法人チルドレンス・バラダイス(千葉県いすみ市)が運営する児童養護施設「子山ホーム」の吉田正浩園長の講演から、約50人の参加者が子どもたちを取り巻く成長の背景や自立に向けた課題への理解を深め、地域の一人ひとりができることを考えた。
オンラインで報告をした吉田園長
パルシステム若者応援基金による給付型奨学金の奨学生は、児童養護施設など社会的養護下で成長した背景を持つ若者が多く、子山ホーム出身の学生もいる。こうした子どもたちを取り巻く環境や課題を多くの人に理解してもらうことを目的に、学習会が開かれた。
吉田さんは、報告に当たり「児童養護施設を正しく理解し、暮らしているのは『普通の子どもたち』だと知って下さい」と参加者に呼びかけた。また、地域内の施設への警戒心や不安を取り除くには、まずは正しい情報に自ら触れ、周りの人と話し合うことが有効で、今回の報告をきっかけにして欲しいと伝えた。
社会的養護は、保護者から適切な養育を受けられない子どもたちを公的責任で保護し、養育に困難を抱える家庭を支援する仕組み。全ての子どもを社会全体で育み、最善の利益を目指すことを基本理念に、さまざまな施設や一般家庭で子どもたちを養育している。
児童養護施設は、現在全国に610か所あり、2万3008人の子どもたちが、できるだけ家庭に近い環境で生活する場所として機能。主な養育は保育士や児童指導員などの専門職が担当し、嘱託医や栄養士、心理面をサポートする相談員など2万639人の職員が見守っている。2歳から18歳までが入所の対象だが、昨年度に年齢制限が撤廃され、本人の状況に応じて必要な時期まで支援を受けられるようになった。
施設への入所理由は、保護者の虐待が半数を超え、経済的困難や精神疾患、養育能力の欠如など多くの要因が絡み合い、背景が複雑化している。入所の直接の原因が改善されても別の課題が明らかになるなど、子どもの心のケアや家庭環境の調整も必要になる。
子山ホームでは、4歳から18歳までの子どもが、本園6ホームと分園2ホームでそれぞれ6人が1つの家庭のように生活している。一日のスケジュールの中で温かな食事をとり、学校に行って宿題をし、みんなでグラウンドに出て遊ぶといった日常を送っている。
子山ホームの入所児童は、そのほとんどが虐待によるもの。発達障害や知的障害など疑いも含めた子どもが6割近くおり、児童精神科など医療や福祉サービスとの連携が不可欠となる。複雑な養育環境に起因する症状も含め、職員は通院の付き添いや心理面への対応が必要となる。
また、18歳になり進学や就職で退所する子どもは「一人で生きて行けるのか」「ちゃんとごはんが食べられるのか」と不安を抱えている。吉田さんは「親という絶対的な後ろ盾がない彼らは、一度のつまずきでも人生が狂ってしまうことがある。施設出身の子どもがいたら気にかけてあげてください。今日の報告を周りの人に伝え、『すべての子どもを社会全体で育む』という意識を多くの人に持ってほしい」と語った。
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