ブラジルCOP30から世界の気候危機を知る 現地イベント報告 パルシステム連合会2025年12月22日
パルシステム連合会は12月5日、世界の気候変動問題を考えるイベントをオンラインで開催。ブラジルで開催された気候変動対策を議論する国際会議COP30に合わせ現地入りした2人が登壇し、会議に合わせて開かれたイベントについて報告した。

©FFNPT
イベントでは、環境NGOのFoEJapanで開発金融・環境問題を担当する長田大輝さんと、気候変動対策団体のクライメート・リアリティ・プロジェクト(CPR)ジャパンの豊吉里菜さんが、COP30への見解や脱炭素社会実現のためにできることを語った。
COP(Conference of the Parties:締約国会議)30は、11月10日から22日までブラジル・ベレンで開催。国連が1992年に採択した気候変動枠組み条約の最高意思決定機関で、およそ200の国と地域の締約国が、地球温暖化対策の国際ルールを話し合った。
会議の結果、気候変動による途上国の災害対策支援金を2035年までに3倍に増やし、温室効果ガスの排出削減を加速させることで合意。期待されていた化石燃料からの脱却は合意に至らず、課題が残る結果となった。
長田さん(環境NGO FoEJapan)
長田さんは、温暖化の進行状況やCOPで議論されたテーマ、日本の課題などを報告。「温暖化は2000年以降に前例のないほど進行し、異常気象の発生リスクがさらに高まります」と警鐘を鳴らした。温室効果ガス排出量の73%は、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料に由来し、化石燃料からの脱却には、気候変動対応や損害補償の資金調達が重要。先進国に拠出義務があるが、化石燃料への巨額投資やインフラ開発・保有で利益を生み出す国内企業の問題点を指摘した。
COP30では、議長国ブラジルやコロンビアによる脱化石燃料ロードマップ採択の機運が高まったが、具体的道筋の合意に至らず。長田さんは、途上国の反対が影響するとの見解に対し、「気候正義」の観点から信ぴょう性を疑っている。
化石燃料への依存が不平等を生む経済構造から、人権や健康の保護を目指す「公正な移行」では、新たな仕組みの設置が決定。長田さんは「誤った気候変動対策を入れず、市民社会の参加を確保し各国が責任を持ち実施することが求められます」と今後を語った。
また、COP30の結果を踏まえ、日本には「野心的な削減目標の設定」「化石燃料への資金支援の終了」「再生可能エネルギーへの資金支援」の責任があると主張。日本によるガス事業への資金支援に対する現地での抗議活動を紹介し「気候変動対策は待ったなしです。日本は多くの人権侵害や健康被害を引き起こす事業への支援を今すぐやめるべきです」と訴えた。
声を上げる先住民
豊吉さん(CRPジャパン)
一方、豊吉さんは、COPにおける市民社会の役割や現地のようすを報告。豊吉さんが所属するCRPジャパンは、気候変動に関するトレーニングを受けたボランティアと共に、世界中で啓発活動をしている。COP30に対して交渉団を通じ「石炭・石油・ガスからの卒業」「温室効果ガス削減のより高い目標設定」「地域と自然を守る持続可能な資金」「誰ひとり取り残さないルールづくり」の4つを要求。現地では、カード配布やイベント開催などで気候変動対策アクションへの参加を呼びかけた。
市民社会はCOPにおいて、「交渉プロセスを監視し、政府への働きかけや教育活動を推進する役割がある」と豊吉さん。会場内外のアクションの例として、気候変動交渉で最も足を引っ張った国に贈られる不名誉な「本日の化石賞」を紹介し、化石燃料の延命技術やガス事業への巨額投資などを理由とする日本の受賞を報告した。
COP30は、過去最多の先住民コミュニティが参加。会場には先住民パビリオンが設置され、連帯アクションが行われた。ブラジルはアマゾン地域を中心に、数百の先住民コミュニティが存在する。深刻化する石油開発や森林伐採の被害に直面する先住民たちは、自分たちの暮らしを守るため声を上げ、COPへの参加を求めたが、運営側が会場に入れないなどの摩擦が見られたという。
豊吉さんは「言語の壁を超え、自分たちの声を必死に届けようとする姿勢に胸を打たれた。世界中から集まった人々が、気候変動への思いを共有して行進する姿に、国境を超えた連帯を強く感じました」と市民の力を実感したという。
豊吉さんは、COP30を「前進と失望が混ざった結果」と評価。日本国内のアクションを考えるフェーズに入ったと述べ「私たちに求められるのは、一緒に声を上げ続けることです。皆さんが一歩を踏み出す後押しになれば嬉しいです」と報告を締めくくった。
報告の後、国際交流NGOピースボート(本部:新宿区高田馬場、川崎哲、野平晋作、畠山澄子、吉岡達也共同代表)の動画メッセージを上映。動画では、USディレクターのエミリー・マグローンさんと国際コーディネーターのカレン・ハロウズさんが、団体概要とCOPでの活動を紹介した。
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