JA全農が穀類種子消毒技術で独占使用権取得2014年3月27日
JA全農がインコテック社と合意
JA全農は、日本の穀類におけるサーモシード(高温加湿空気による種子消毒技術)を、JA全農の独占的使用とすることに、インコテック社(オランダ)と合意し、その説明会を3月27日、大手町のJAビルで開催した。
現在、日本における水稲の種子消毒は、農薬か温湯消毒によって行われているが、農薬消毒の場合には、耐性菌の発生や廃液処理、特栽米への対応ができない、温湯消毒の場合は、温度ムラが生じて効果が不安定、手作業が主流で品質にばらつきがでる、保管には向かないなどの課題がある。
しかし、インコテック社が開発した高温加湿空気による種子消毒技術「サーモシード」だと、ロットごとに発芽率や病原菌の付着を予備試験で確認するので最適な条件での種子消毒が可能。ムラのない均一な処理が可能なので、防除効果が安定する。乾燥工程が不要なことや、作り置きによる長期保管・遠距離輸送や作業の計画化が可能になるなど、農薬や温湯消毒の課題を解決できる。
また、水稲栽培においてはすでに施肥や防除技術によって生産コストに大きなウェイトを占める労働費を削減してきているが、「労働費全体の3割を占める種子消毒、育苗、田植えの労働力縮減が課題となっている」(山崎周二全農常務理事)。そこで、種子消毒の省力化を可能とするこの技術を導入することにした。
すでに平成25年に北海道で試験(水稲、麦)を実施し良好な結果を得ているが、26年度も各県で試験を行い27年以降に実機を導入し、早期な実用化をはかっていく。
山崎全農常務は、「現在、農家個人やJAで行っている種子消毒を、この技術を導入することで、県域でまとめることで、水稲栽培そのものの省力化を可能にしていく」と述べた。さらに将来的には、機器の性能が高いので、県域を超えた集約化も視野に入れたいとした。
このサーモシードの独占使用権と同時に、全農は同社とパートナーシップ協定も締結した。この協定の目的は両者の知識や経験を交換し、サーモシードを含むインコテック社の種子処理技術を普及することで、日本の農業の発展に努めることにあるという。
インコテック社は、サーモシードだけではなく、発種子選別、発芽促進、有用成分の種子への添加、ペレット加工、分析サービスなど、各種種子に付加価値を与える技術をもつ会社で、その技術は高く評価されている。
(写真)
握手する山崎全農常務とインコテック社のダウェ・ザィップCEO
※山崎常務の「崎」は正式には旧字体です。
(関連記事)
・JA全農とっとりが輸出促進でドールと協定(2014.03.26)
・雪害対策で奮闘するJA全農(2014.03.20)
・「フェアな競争関係」が農協を強くする(2014.03.17)
・貿易ルールづくり「農業者の話し合い重要」(2014.03.14)
・【現場で役立つ農薬の基礎知識 2014】[1]水稲種子消毒法のポイント(2014.01.22)
重要な記事
最新の記事
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(1)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(2)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(3)2025年9月18日
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【全中・経営ビジョンセミナー】伝統産業「熊野筆」と広島県信用組合に学ぶ 協同組織と地域金融機関の連携2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
秋の交通安全キャンペーンを開始 FANTASTICS 八木勇征さん主演の新CM放映 特設サイトも公開 JA共済連2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
「いざ土づくり!美味しい富山を届けよう!」秋の土づくり運動を推進 富山県JAグループ2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日