スマホで田んぼの水管理 農研機構2017年8月24日
農研機構は8月22日、田んぼの水管理をスマートフォンやPCでモニタリングしながら遠隔操作したり、自動で給水と排水を制御できるシステムを国内で初めて開発したと発表した。実証ほ場では水管理にかかる労働時間を約80%削減でき、出穂期から収穫までの期間の用水量を約50%削減できた。
水管理は水稲栽培労働時間の約3割を占め、とくに分散した水田を管理する農家にとっては大きな負担となっている。しかも、大規模農家は複数の品種や栽培方法(移植と直播)を組み合わせているため、水管理は複雑になっている。
そこで農研機構農村工学研究部門は、既存の給水バルブと排水口にインターネット通信機能とセンシング機能を付加した制御装置を追加することで、給水バルブと排水口を遠隔・自動で制御できるシステムを開発した。
これによって農家はスマートフォンやPCなどから、どこにいても水田の水位や水温などのデータを見ることができて、状況に応じていつでも自由に水管理をすることができる。また、サーバー上の水管理ソフトを使うことで
▽任意の水深の自動維持
▽設定した間隔での間断灌漑
▽水温上昇を目的とした夜間灌漑
など、さまざまな水管理を自動で行うこともできるという。
既存の給水バルブと排水口に後付けで設置することができるため大規模な設置工事はいらず、制御装置は太陽光発電と内蔵バッテリーのみで稼働するため、電源は不要となる。国内の主要な給水バルブに対応している。
農研機構内の実証ほ場(20a区画)では水管理に要した時間は対照水田(一般的な給・排水装置を設置)にくらべて約80%削減できた。また、出穂期から収穫までの期間の積算用水量(日々使用した用水量を積算し、水田面積で割ることで雨量と同じように用水量を高さで示したもの)は約50%に削減できた。
目標価格は、
▽自動給水バルブ・自動落水口=各1機あたり10万円
▽基地局=20~30万円
▽通信費用=2000~4000円/月。
今年度中に大手農業系企業グループから発売が予定されている。
(写真)ICTを用いて省力・最適化を実現する圃場水管理システムの概要
農研機構では、水管理労力の大幅な削減により、大規模農家の規模拡大や余剰労力を活かした6次産業化への取り組みなどを通じて、所得向上に寄与したいとしている。また、現在、気象データやコメの発育モデルなどと連携することで品種や地点、移植日を事前に登録するだけで、田植えから収穫までの最適な水管理スケジュールを組み立て、自動で水管理をする「最適水管理アプリ」を開発している。このアプリの利用によって収量や品質の向上も期待できるという。
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