オリーブにハンエンカタカイガラムシ 国内で初めて確認 鹿児島県2022年1月19日
鹿児島県病害虫防除所は、日置市のオリーブで、ハンエンカタカイガラムシの発生を確認。これを受け、1月13日に病害虫発生予察特殊報第2号を発令した。
枝への寄生とすす症状の発生状況(写真提供:鹿児島県病害虫防除所)
2021年9月に、日置市のオリーブ(露地栽培)でカイガラムシ類の寄生を確認。寄生された果実や枝葉では、すす症状の汚れが見られた。門司植物防疫所鹿児島支所にこの虫の同定を依頼した結果、ハンエンカタカイガラムシと確認された。同防除所は1月13日現在、他市町村のオリーブでの発生は認めていない。
被害は枝葉に寄生し、多発すると落葉するほか、排泄物(甘露)で枝葉や果実がべたつき、すす病が誘発されることから、果実の品質が損なわれ、樹勢が低下する。
未成熟成虫は、背面にH型の隆起線がある(写真提供:鹿児島県病害虫防除所)
雌成虫の体長は2~4ミリ、未成熟成虫の体表面は平らで暗色斑のある淡黄色~桃色でH型の隆起線がある。成熟成虫の背面は著しく隆起して硬皮し、黄褐色~茶褐色で光沢がある。また、老熟成虫はH型の隆起線が消失し、虫体表面は完全になめらかとなる。
カンキツ類、コーヒーノキ、ソテツ、バンジロウなど極めて寄主範囲が広い。熱帯果樹類の害虫として知られるほか、温室内の1年生草本に至るまで、多くの植物を加害。オリーブへの寄生の報告は国内初となる。
生態としては、雌だけで増殖する単為生殖。年間世代数などは明らかではないが、発生は不規則で、年間を通して幼虫から成虫までの各発育段階のものがみられる。
未成熟成虫は、背面にH型の隆起線がある(写真提供:鹿児島県病害虫防除所)
世界中の熱帯,亜熱帯に広く分布し、国内では九州南部、南西諸島、八丈島、小笠原諸島で野外に発生。各地の温室にもごく普通にみられる。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇寄生枝葉を認めた場合は、速やかに除去し、ほ場外に持ち出し適切に処分する。
〇オリーブの苗を定植する際は、同種の寄生に十分注意する。
〇薬剤はモベントフロアブルがカイガラムシ類に登録がある(表1)。登録内容を遵守し適切に散布する。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日