昆虫の訪花が種子生産に寄与するタイミング 5秒おきの撮影で明らかに 中央大など2022年7月13日
中央大学理工学部の高田まゆら教授と中央大学理工学部、東京大学大学院農学生命科学研究科、農研機構の研究グループは、昆虫による植物の送粉注研究における連続写真撮影の有効性を示す論文を発表。5秒おきの撮影で昆虫の訪花が種子生産に寄与するタイミングが明らかになった。
美しい花を咲かせる植物の多くは、昆虫や鳥などの動物に花粉を運んでもらい受粉・結実するが、花を訪れる全ての動物が送粉に有効とは限らない。花粉を運んでくれる動物でも、その活動は開花期間の中で開花からの経過日数や時間帯、天候によって変動するため、短時間の観察から全体像を把握することは困難だった。
そこで研究グループは、天候に左右されずに5秒間隔で写真を撮影できる自動システムを用いて、ハチ、ハエ、甲虫など様々な昆虫が訪れるハスの花の開花全期間(約4日間)におけるほぼ全ての訪花を記録。撮影した花の種子生産まで調査したところ、雨風がなく最適な気温の下で開花2日目の朝5~7時台に花を訪れるハチ類が多いほど種子生産が増えることが明らかになった。一方、送粉昆虫を捕らえて餌にするスズメバチやクモ類などが頻繁に来る花では送粉昆虫の訪花が少なく、種子生産にマイナスの影響を及ぼしうることも示唆された。
同研究では用いた撮影機材の性能の限界から、訪花昆虫の同定は目や科レベルにとどまるものもあった。今後は、一眼レフカメラなどを用いて、より高解像度の撮影を行い、訪花昆虫の種レベルでの同定をめざす。さらに、今回得られた膨大な量の画像データから機械学習を用いて、野外の条件下で訪花昆虫の種を自動的に識別、同定するアルゴリズムを開発。これらにより、希少な植物種や送粉昆虫種の保全に関する研究、作物や園芸植物の種子生産性向上、地域の訪花昆虫相を把握するための種数に着目した研究など、ハスに限らず他の多くの植物と送粉者の系での研究への応用も期待される。
同研究の成果は、雑誌『Scientific Reports』のオンラインで7月11日に掲載された。
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