イネが病原菌の感染力の源を検出 免疫を誘導する仕組みを解明 近畿大学2022年9月6日
近畿大学大学院農学研究科(奈良県奈良市)博士後期課程1年の吉久采花氏、研究員の吉村智美氏、同研究科・アグリ技術革新研究所の川﨑努教授らの研究グループは、岩手生物工学研究センター、京都大学との共同研究で、イネの最大の病害の一つである白葉枯病菌の感染力の源となるタンパク質を検出。強力な免疫反応を誘導する仕組みを明らかにした。この研究成果により、病気に強い植物の開発に繋がることが期待される。

農業生産において病害による収量の損失は約15%にのぼり、これは10億人分の食料に相当する。また近年、世界規模の環境変動や、国際貿易に伴う病原菌・害虫の移動により、従来の病害発生地域とは異なる地域での病害も発生している。さらに、新たな病原菌が出現して植物でパンデミックを引き起こし、作物が壊滅的な被害を受けた例も多数報告されており、食料生産を持続的に安定化するための次世代耐病性技術の開発が望まれている。
作物生産に大きな損害をもたらすXanthomonas属やRalstonia属の病原菌は、 Transcription Activator-Like(TAL)エフェクターと呼ばれる病原性因子をもち、それが病気を引き起こす根源であると考えられている。イネで見つかった病原菌認識受容体(センサー)であるXa1は、病原菌のTALエフェクターを認識して強い免疫反応を誘導することが知られているが、その分子メカニズムは不明だった。
同研究グループは、イネの病原菌認識受容体(センサー)であるXa1と白葉枯病菌のTALエフェクターの相互作用を解析。その結果、Xa1がもつBEDドメインが、TALエフェクターと相互作用することにより、Xa1がTALエフェクターを検出し、免疫反応を活性化することを発見した。
さらに、Xa1による免疫制御経路を解明するため、Xa1と相互作用する因子を探索し、 「OsERF101」という転写因子を発見。OsERF101が、Xa1によるTALエフェクターの認識および免疫誘導において極めて重要な働きをしていることを明らかにした。
TALエフェクターは、Xanthomonas属やRalstonia属の病原菌が病気を引き起こす根源として知られているが、Xa1の機能を用いることで、それらによる重要病害を克服することが期待される。
同件に関する論文は、9月1日(日本時間)に、植物科学誌『New Phytologist』に掲載された。
重要な記事
最新の記事
-
【特別座談会】米は食の源 基本は国消国産(2)2025年11月4日 -
【特別座談会】人を育てる食と農の力に自信を持とう(3)2025年11月4日 -
なぜ先物市場の価格は市中価格とリンクしないのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年11月4日 -
鳥インフルエンザ 国内2例目を北海道で確認2025年11月4日 -
鳥インフルエンザ 新潟で国内3例目2025年11月4日 -
規格外野菜で農家レストラン 高崎市の柴崎農園が最高賞 食品産業もったない大賞2025年11月4日 -
GREEN×EXPO2027 日本政府出展起工式を開催2025年11月4日 -
第1回「食と農をつなぐアワード」受賞者決定 農水省2025年11月4日 -
「ジャンボタニシ」の食害被害を防ぐ新技術開発 ドローンで被害を事前予測・スポット散布 農研機構2025年11月4日 -
11月の野菜生育状況と価格見通し ばれいしょ、たまねぎなど平年を上回る見込み 農水省2025年11月4日 -
11月11日は長野県きのこの日「秋の味覚。信州きのこフェア」4日から開催 JA全農2025年11月4日 -
「鹿児島黒牛」使用メニュー「牛かつふたば亭」で提供 JA全農2025年11月4日 -
自動車共済の仕組改訂など2026年1月実施 「日常生活事故弁護士費用保障特約」新設 JA共済連2025年11月4日 -
交通安全イベントで「見えチェック」体験ブース 反射材着用を呼びかけ JA共済連2025年11月4日 -
長野県「僕らはおいしい応援団」りんご「サンふじ」など送料負担なし JAタウン2025年11月4日 -
奈良県「JAならけん」約10点を送料負担なしで販売中 JAタウン2025年11月4日 -
藤原紀香「ゆるふわちゃんねる」淡路島で「灘の赤菊」生産者とゆる飲み JAタウン2025年11月4日 -
「ココ・カラ。和歌山マルシェ」約80点を送料負担なしで販売中 JAタウン2025年11月4日 -
第30回さなえ図画コン 最優秀賞は「田うえで出会えるお友だち」 井関農機2025年11月4日 -
秋篠宮皇嗣殿下がGREEN×EXPO 2027名誉総裁に就任 2027年国際園芸博覧会協会2025年11月4日


































