「固結工法」による農業用パイプラインの耐震性向上技術を開発 農研機構2022年10月21日
農研機構は、神戸大学と茨城大学と共同で、農業用水のパイプラインで地震による被害の多い曲管及びT字管等の耐震性を向上させるため、埋戻し材の一部に「固結工法」を用いた技術を開発。その効果を振動模型実験により検証した。
地震による継手の抜け出し(東日本大震災での被害事例)
農業用パイプラインは、大規模な地震の際に大きな被害を受ける。特に多い被害は、曲管やT字管等のスラスト力が作用する箇所での継手部のパイプの抜け出し。通常時は、スラスト力に対して、農業用パイプラインの周辺にある埋戻し材の土圧等によってパイプが保持されているが、地震時にはこの埋戻し材が液状化して土圧が低下するため、パイプが動いて継手部の抜け出しが生じる。
スラスト力の作用方向。曲管(左)とT字管
そこで、3者は共同で、①セメント等の材料を埋戻し材である砂質土と混合させた固化処理土を用いる、あるいは、②砂質土に地表面から薬液等のグラウト材を注入することで、曲管やT 字管等のスラスト力が作用する箇所の耐震性を向上させる工法(固結工法)を開発。振動模型実験を行って、その効果を確認した。
スラスト力が作用する方向の埋戻し材にこの工法を適用し、地震時の埋戻し材の強度低下を防止することで、パイプの変位が抑制され、継手部が抜け出しにくくなり、新しく管を埋設する際には、①を適用する。一方、すでに埋設されているパイプには、②を適用することで同様の効果が得られる。
同工法は、全国に埋設されている農業用パイプラインを効率的に耐震化する際に活用が期待される。なお、埋戻し材の周辺の地盤そのものが地震時に液状化したり強度低下したりする場合には、同工法は適用できない。
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