作物を病気に強くする遺伝子が害虫の成長を抑制 新しい病害虫防除技術の開発へ 農研機構2024年3月21日
農研機構と岡山大学は、イネのBSR1(ビーエスアールワン)遺伝子を強く働かせることにより、病害を防ぐだけでなく、葉を食べる害虫クサシロキヨトウの幼虫)の成長を抑制することを明らかにした。この発見は、作物を病原菌と害虫の両方に強くできる新しい病害虫防除技術の開発につながる。
農作物は、さまざまな病原菌が引き起こす病害だけでなく、害虫による養分の吸汁や葉の食害等を受ける。このような多様な外敵に対して複数の化学農薬殺菌剤や殺虫剤等)を使った防除が行われており、化学農薬使用量低減に向けて病原菌と害虫との両方に有効な新しい防除技術が求められている。
農研機構はこれまでに、イネを病原菌から守る遺伝子(病害抵抗性遺伝子)の探索を他機関と共同で実施。2010年には、イネいもち病菌など4種類の病原菌に対する病害抵抗性遺伝子BSR1をイネから発見し、その機能について調査を進めてきた。2023年2月には、このBSR1遺伝子を遺伝子組換え技術によりサトウキビ、トマト、トレニアに導入して強く働かせた場合でも、病原菌に対して抵抗性を示すことを明らかにした。
今回、農研機構と岡山大学は、東京大学、東京理科大学と共同で、BSR1遺伝子を遺伝子組換え技術によりイネで強く働かせると、葉を食べる害虫(クサシロキヨトウの幼虫)に対する抵抗性が高まること、また、そのメカニズムにイネが生産する抗菌性化合物が関わることを明らかにした。
BSR1が害虫(クサシロキヨトウ)に対するイネの防御応答を制御
たった一つの遺伝子の働きが病原菌や害虫という幅広い外敵に抵抗性を示すことは珍しく、この発見は新しい病害虫防除技術の開発の糸口になると考えられる。
今後は、BSR1遺伝子の作用メカニズムをさらに詳細に解明するとともに、BSR1遺伝子の働きを強める技術を開発することにより、作物を病原菌と害虫の両方から守る新たな防除法につながると期待される。また、幅広い種類の作物がBSR1に似た遺伝子を持っており、将来的にはこれらの作物に応用していくことも展望できる。
この成果は2023年6月20日、国際誌『International Journal of Molecular Sciences』に掲載された。
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