育種学や品種改良技術への応用が可能に 植物受精卵の半球形状を生む細胞壁変形原理を解明 秋田県立大×東北大2024年12月16日
東北大学と秋田県立大学の研究チームは、顕微鏡による細胞画像から粘弾塑性モデルの再構築に成功。植物科学で得られる細胞画像データから細胞の変形メカニズムや表面力学などの力学情報を再分析することが可能になるため、育種学や品種改良などで受精後細胞の変形を理解し設計するような実学応用も期待される。
春の七草の一種であるナズナ(ペンペン草の仲間)は茎や根などの体軸(上下軸)を持つ。人間の背骨のように地上の体を支えたり姿勢を整えたりする力学的に重要な役割を持っているが、植物の体軸が受精後の一細胞である受精卵からどのように形成されるかは、詳しくわかっていなかった。
先行研究では、受精卵が一方向に異方的に伸長しドーム型の頂端細胞と細長い基部細胞に分裂することが体軸形成にとって極めて重要であることが明らかにされていたが、この受精卵の異方成長がどのような仕組みで達成されているかは未解明だった。
同研究では、東北大学の植田美那子教授らと秋田県立大学の康子辰博士研究員および津川暁助教らが強力なタッグを組むことで、顕微鏡画像で得られた受精卵細胞形状と伸長速度データを定量的に分析。受精卵先端が半球状態を維持しながら伸長することを発見した。
さらに、粘弾塑性を考慮した細胞力学モデルを構築することで、この先端半球の維持には細胞壁が特有の変形分布をとることや、表面の法線方向に伸長することが必要であることがわかった。
これらの知見により、植物科学で得られる細胞画像データから細胞の変形メカニズムや表面力学などの力学情報を再分析することが可能になるため、植物生理学や遺伝学を力学的に捉え直すことを可能になる。また、育種学や品種改良などで受精後細胞の変形を理解し設計するような実学応用も期待される。
同研究成果は12月12日、ケンブリッジ大学出版『Quantitative Plant Biology』誌に掲載された。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(172)食料・農業・農村基本計画(14)新たなリスクへの対応2025年12月13日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(89)フタルイミド(求電子剤)【防除学習帖】第328回2025年12月13日 -
農薬の正しい使い方(62)除草剤の生態的選択性【今さら聞けない営農情報】第328回2025年12月13日 -
スーパーの米価 前週から14円下がり5kg4321円に 3週ぶりに価格低下2025年12月12日 -
【人事異動】JA全農(2026年2月1日付)2025年12月12日 -
新品種育成と普及 国が主導 法制化を検討2025年12月12日 -
「農作業安全表彰」を新設 農水省2025年12月12日 -
鈴木農相 今年の漢字は「苗」 その心は...2025年12月12日 -
米価急落へ「時限爆弾」 丸山島根県知事が警鐘 「コミットの必要」にも言及2025年12月12日 -
(465)「テロワール」と「テクノワール」【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月12日 -
VR体験と牧場の音当てクイズで楽しく学ぶ「ファミマこども食堂」開催 JA全農2025年12月12日 -
いちご生産量日本一 栃木県産「とちあいか」無料試食イベント開催 JA全農とちぎ2025年12月12日 -
「いちごフェア」開催 先着1000人にクーポンをプレゼント JAタウン2025年12月12日 -
生協×JA連携開始「よりよい営農活動」で持続可能な農業を推進2025年12月12日 -
「GREEN×EXPO 2027交通円滑化推進会議」を設置 2027年国際園芸博覧会協会2025年12月12日 -
【組織改定・人事異動】デンカ(1月1日付)2025年12月12日 -
福島県トップブランド米「福、笑い」飲食店タイアップフェア 期間限定で開催中2025年12月12日 -
冬季限定「ふんわり米粉のシュトーレンパウンド」など販売開始 come×come2025年12月12日 -
宮城県酪初 ドローンを活用した暑熱対策事業を実施 デザミス2025年12月12日 -
なら近大農法で栽培「コープの農場のいちご」販売開始 ならコープ2025年12月12日


































