高温ストレス下で植物の発芽を調節 タンパク質の活性化機構を解明 明治大2025年3月5日
明治大学の瀬戸義哉准教授は、静岡大学の竹内純准教授、中村彰彦教授と共同で、高温ストレス下での植物の発芽制御に関わるタンパク質の活性化機構を解明した。農作物の収穫量に大きな影響を与える植物の高温発芽阻害の解決に向けた新たな知見を提供する。
共同研究では、高温ストレス下での植物の発芽制御に関わるタンパク質「KAI2」(KARRIKIN INSENSITIVE 2)が、どのような分子構造を持つ物質(リガンド)と結びつくことで生理応答が起こるのかを明らかにした。
地球温暖化により、高温ストレスが原因で植物の発芽が妨げられることは、農作物の収穫量に大きな影響を与える深刻な問題。最近の研究で、植物ホルモンであるストリゴラクトンの受容体(D14)の仲間であるKAI2が、高温環境での植物の休眠や発芽の調節に関与していることが報告されているが、KAI2と結合する植物内生リガンド(KL)はまだ同定されておらず、そのメカニズムもよく分かっていない。
そこで同研究では、KAI2のリガンドがどのような分子構造を持っている必要があるのか、またKAI2がどのように活性化されるのかを解明した。
具体的には、KAI2と結合することが知られているdMGerという物質(KAI2アゴニスト)の構造を改変して、KAI2と結合するが、KAI2によって加水分解されないような構造としたdMGerアナログ(類似物質)を設計。このアナログを使って、KAI2との結合活性や植物への効果を詳しく調べた。
解析の結果、KAI2を活性化するには、リガンドがKAI2と結合するだけでは不十分で、リガンドのブテノライド環注が加水分解され、その後KAI2の触媒残基と共有結合を形成することが重要であることが分かった(図1)。
同成果は、10年以上発見されていなかったKLの構造的特徴に関する新しい知見を提供し、KLの探索研究を大きく前進させるものと期待される。また、植物の高温発芽阻害の解決にKAI2経路を利用した新規農薬ターゲットを創り出せる可能性もある。
この研究成果は2月20日。国際学術誌『Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)』のオンライン版で公開された。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(134)-改正食料・農業・農村基本法(20)-2025年3月22日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(51)【防除学習帖】第290回2025年3月22日
-
農薬の正しい使い方(24)【今さら聞けない営農情報】第290回2025年3月22日
-
政府備蓄米 JA全農 初回入札で13万2000t落札2025年3月21日
-
配合飼料供給価格 1t400円値下げ 4‐6月期 JA全農2025年3月21日
-
鶏卵 夏以降、生産回復し価格落ち着きか 需給見通し検討委2025年3月21日
-
【浜矩子が斬る! 日本経済】商品券ばらまきで馬脚 「苦しい日本に向かって『楽しい日本』を振りかざすヒラメ男の無神経」2025年3月21日
-
国際協同組合年2025で危機を好機に 日本共済協会が「IYC2025の意義」セミナー(1)2025年3月21日
-
国際協同組合年2025で危機を好機に 日本共済協会が「IYC2025の意義」セミナー(2)2025年3月21日
-
米輸出に意欲 担い手への新たな支援も 江藤農相2025年3月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国内供給を放置して進む輸入米と輸出米の危うさ2025年3月21日
-
【インタビュー】JA全農酪農部 深松聖也部長 結集力で日本の酪農を守る2025年3月21日
-
(427)卒業式:2日前と前日【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年3月21日
-
肉用鶏の衛生水準の向上等に関する検討会 中間取りまとめを公表 農水省2025年3月21日
-
個人番号の利用目的の変更 農林中金2025年3月21日
-
【Jミルク需給変動対策】初の155億円規模基金 非系統含む全酪農家、業者参加を2025年3月21日
-
みちのく産小麦使った喜多方ラーメン 特徴はもちもち感とコシの強さ JA会津よつば2025年3月21日
-
県産野菜、鍋で食べやすく れんこんのシャキシャキ感に合う上品なつゆの風味 JA全農いばらき2025年3月21日
-
日本の小粋な白ワイン 2023農民ドライ ココ・ファーム・ワイナリー2025年3月21日
-
環境配慮の理解が進んだ消費者は農産物に最大16%上乗せしても購入 NTTデータ経営研究所「環境配慮型食品に関する消費者調査」2025年3月21日