農地をもっと効率的に「農地集約プログラム」参加市町村を募集 東北学院大学2025年5月12日
東北学院大学の黒阪健吾研究室は、農地集約プログラムを実施する市町村を公募する。

同プログラムは、農家の耕作意向をWebアプリケーションで収集し、マッチングアルゴリズムを用いることで効率的な農地集約案を作成する取り組み。同事業ではプログラムの効果をより客観的に検証するため、ランダム化比較実験(Randomized Controlled Trial:RCT)という実験手法を用いて、プログラム実施地区と非実施地区における農地利用の変化を比較分析する。
日本農業最大の問題点は、農家の耕作地が複数箇所に分散する「分散錯圃」にある。農業所得の不安定さや農地の資産保有意識などにより、農地の取引が活発に行われているとは言い難い状況にあり、農地の貸し借りの調整も人の手という技術的な制約などから、農地の集約・集積は進んでいない。
こうした分散作圃の解決を目的として、同研究室では農家の耕作意向情報(「耕作したい農地」はどこか、「耕作したくない農地」はどこか)を専用Webアプリを通じて収集し、「耕作したい農地」と「耕作したくない農地」をマッチングさせる農地集約システムの開発を進めてきた。
農地集約システム
農地集約システムは、PCやモバイル端末を用いて農家から耕作地に対する選好情報を収集し、これらの選好情報とマッチング理論に基づいたアルゴリズムを用いることで、農家が納得できる農地の集約案を自動的に作成するもの。この集約案をたたき台とすることで、市町村が地域計画を作成する手間を大幅に短縮するほか、話し合いだけでは気付くことが難しい潜在的な農地交換の可能性を発見できる画期的なツールとなる。(特許出願中 出願番号:2023-080941)
これまで2022年度から2024年度にかけて実証実験を行い、直近の2024年9月3日~2025年2月7日に岩手県盛岡市で31軒の農家、2304筆の農地を対象とした実証実験には16軒の農家が参加した。
今回の実証事業は、この農地集約システムを使用して農地集約事業を行う農地集約プログラムが分散錯圃の解決にどの程度有効であるのか、農家の生産活動にどのような影響を与えるのかについて、全国の市町村を対象とした大規模な検証を行う。
実証事業は市町村単位で行い、ランダム化比較実験(RCT)と呼ばれる実験手法を用いる。これは、参加市町村にプログラムを実施する候補を2地区挙げてもらい、同研究室においてそのうち1つを実施地区(処置群)、残り1地区を非実施地区(対照群)としてランダムに選定するもの。そのうえで、実施地区と非実施地区の事業実施前後における農地利用の変化を比較する。
実証事業への参加を希望する場合は、同研究室のWebサイトに掲載している公募要項を参照。同サイトの電子申請フォームから申し込める。応募締切は6月6日17時。
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