AI利用を促進 農作物のアノテーションへ効率化プログラム開発 SOPも公開 農研機構2025年5月19日
農研機構は、AIによる画像処理で農作物の花や果実などを検出する際に必要なアノテーション作業(学習)データを作る作業)を効率化できるプログラムを開発し、職務作成プログラムとして利用申請の受付を開始。イチゴの花を用いて実証した際、同プログラムを利用することで、アノテーション作業の所要時間が、従来手法と比べて約1/5に短縮する。同プログラムの使い方を記載した標準作業手順書(SOP)も公開した。
開発したプログラムの概要と特徴(イチゴの花のアノテーション作業での事例)
アノテーションは、AIに検出させたい対象物を特定するために、画像内の対象物を正確に指定して、その部分に囲い枠を描いてラベル付けする作業。対象物をアノテーションし、アノテーションした部分を学習させてAIモデルを作成すると、作成したAIモデルが対象物を自動で検出できるようになる。
AI(人工知能)を用いた画像処理は顔認識や車両の自動運転で広く利用されており、農業分野でも果実収穫ロボットの視覚部やトラクタの自動運転の研究で活用され、多くの成果が得られている。実際の画像処理ではAIに対象物を識別して検出させるため、事前に対象物をアノテーションし、特徴をAIに学習させる作業が重要だが、AIによる検出精度を人による検出精度と同等にするには、AIの学習のため、大量の画像を準備し、野菜の花、葉など画像中の個々の対象物をアノテーションする必要がある。
AIが対象物を正しく識別するには、少なくとも1万か所以上の対象物が正しくアノテーションされた学習データが必要で、従来のアノテーション作業では、画面上で対象物を探し、対象物が含まれる領域をマウスなどで一つ一つ囲うように最小の四角形や輪郭を描く必要があり、時間と労力がかかることが課題だった。
また、農作物を対象として手軽に使える、AI利用の画像処理ソフトウェアがほとんどないため、農作物を対象にアノテーション作業を手軽に、効率的に行うことができるソフトウェアの開発が望まれていた。
開発プログラムの標準作業手順書(SOP)
農研機構は、こうした課題を解決して農業の場面でAIによる画像処理を広く使えるようにするため、自動アノテーションプログラムを開発。同プログラムは、100か所程度の少数の手動アノテーションを最初に行えば、AIが学習して対象物を認識、検出し、その後の作業で、1万か所以上のアノテーションを自動で行うことが可能となる。
大量のアノテーションを自動で行うため、目視で自動アノテーションの結果を確認する必要はあるが、マウスなどで対象物を指定する作業が不要となる。イチゴの花を用いて実証した際、アノテーションの作業時間が、従来手法では16.6時間だったのに対し、同プログラムを利用することで3.3時間になり、約1/5に短縮することができた。
さらに、同プログラムでは複数種類のAIモデルを選択し作成することが可能で、作成したAIモデルを利用した対象物の自動検出できる。 同プログラムは、農作物の研究を行う研究機関、農業関係の高校や大学、アプリケーション開発を行う企業等で活用できる。
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