サバクトビバッタの乾燥適応戦略を解明 卵黄の温存が幼虫の生存期間を延長 国際農研2025年5月30日
国際農研は、フランス国際農業開発協力センター、モーリタニア国立サバクトビバッタ防除センターと共同で、サバクトビバッタの胚が過酷な砂漠環境でも特に乾燥条件下でどのように生存率を高めているかを明らかにした。
実験中のサバクトビバッタの幼虫
サハラ砂漠に生息するバッタは、しばしば厳しい乾燥と餌資源の乏しさに直面する。ふ化直後の幼虫が生き延びるには、独自の適応戦略が必要とされてきたが、その詳細はこれまで不明だった。
今回の研究により、乾燥条件下でふ化した幼虫は、湿潤条件下の幼虫と比べて小型でありながら、体内により多くの卵黄(脂質)を残した状態でふ化することが判明。こうした幼虫は外部から餌を得られない場合でも、通常の個体よりも約2倍長く生存できることが確認された。
飢餓状態に陥った幼虫では、体内の卵黄がほぼ消耗されており、また、卵から卵黄を摘出して作出した幼虫では、生存期間の延長は見られなかった。これらの結果から、温存された卵黄は「お弁当」のようにふ化後のエネルギー源として利用されていることが示唆された。
同研究成果は、乾燥環境への適応戦略として、胚が限られた資源である卵黄の配分を柔軟に調整し、ふ化後に餌資源が乏しい状況でも生存の可能性を高めていることを示すもの。こうした自然環境への適応メカニズムの解明は、将来的にバッタの個体群動態をより精度高く予測する手法の開発に繋がると期待される。
同研究成果は5月28日、国際科学専門誌『PNAS Nexus』オンライン版に掲載された。
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