鳥は海から陸に肥料を運び、肥料は150年で流れ去る 原生自然の窒素循環を明らかに2025年6月11日
森林研究・整備機構森林総合研究所と東京都立大学、小笠原自然文化研究所、神奈川県立生命の星・地球博物館、自然環境研究センターは、世界自然遺産地域である小笠原諸島において、原生自然を維持する島で海鳥が海から陸に運ぶ窒素の循環と、海鳥絶滅後の窒素の消失について世界で初めて明らかにした。
南硫黄島に飛来したシロハラミズナギドリ。夜になると繁殖地に降りてくる
窒素は肥料の三大要素の一つで、植物の成長に欠かせないもの。研究グループはまず、原生自然を維持している南硫黄島では、海鳥が海から窒素を大量に運んでおり、その窒素は食物網を通じて多様な生物に行き渡っていることを明らかにした。陸上での窒素の拡散には海岸から山頂まで広く生息するカクレイワガニが分解者として貢献していることがわかった。
南硫黄島、北硫黄島、父島・母島における窒素循環
次に、海鳥の繁殖集団の絶滅から50年以上経った北硫黄島には海由来の窒素が残されているものの、150年以上経った父島や母島では大幅に減っていることが判明。これは土壌とともに流出したものと考えられる。
原生自然の分解者、カクレイワガニ
原生自然での窒素循環が明らかになったことで、海鳥の生態系の中での役割という観点から、生態系保全事業の目標となる状態を示した。また、海鳥絶滅から50年は海由来の窒素が陸上に維持されていたことから、この期間に海鳥繁殖地を復元して海と陸のつながりを回復すれば、植物が利用できる窒素の欠乏の影響を最小限に抑えられると言える。
同研究成果は5月22日、国際学術誌『Oecologia』で公開された。
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