イネの種子伝染性細菌病を微生物の力で防除 農研機構2025年7月16日
もみ枯細菌病および苗立枯細菌病は、イネの種子伝染性の難防除細菌病。国内で栽培されている主要なイネ品種には、これらの病害に対する抵抗性の品種がなく、現在は殺菌剤などで防除されているが、殺菌剤耐性菌の出現が問題となっている。農研機構は、これらの病害の発症を抑える有用なイネの内生細菌を見出した。
図1:内生細菌NB6が生産するテイロシンによる病原菌の防除のイメージ
イネの種子伝染性の難防除細菌病であるもみ枯細菌病と苗立枯細菌病は、高温・多湿な環境で発生しやすく、地球温暖化に伴い世界的に発生拡大が危惧されており、日本でも温暖な地域を中心に多発している。一方、これらの原因菌は感染しても必ずしも病徴が出ないため感染に気づきにくい。さらに保菌した種子を通して伝染することから、感染が拡大しやすく、対策が難しいことが特徴となる。
国内で栽培されている主要なイネ品種には、これらの病害に対する抵抗性がなく、現在は殺菌剤などで防除されているが、殺菌剤が効かない耐性菌の出現が問題となっている。
農研機構では、もみ枯細菌病菌に抵抗性を示すインディカ型イネ品種「NonaBokra(ノナボクラ)」に共生していた内生細菌バークホルデリア・グラディオリNB6が、もみ枯細菌病および苗立枯細菌病の発症を強力に抑えることを見出した。さらに、NB6が細胞外に生産するテイロシンが病原菌を殺菌することも明らかにした(図1)。テイロシンは、既存の殺菌剤とは異なる殺菌メカニズムを持つことから、殺菌剤が効かない耐性菌の防除への活用が期待される。
NB6がもともと「NonaBokra」に共生していた内生細菌であるという特徴を生かし、もみ枯細菌病や苗立枯細菌病に抵抗性を持たないイネ品種の種子にNB6を定着させる方法を確立するなど、植物内生細菌を活用した新たな病害防除技術の開発を通じて、持続可能な農業の実現に貢献することを目指す。
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