ゲノム情報を利用 大豆の安定多収・高品質品種の開発を加速 農研機構2025年7月24日
農研機構は、日本の代表的な大豆品種「エンレイ」を含む複数の品種について、最新のロングリードDNA シークエンサーを用いて精度の高い全ゲノム情報を明らかにした。
大豆は豆腐や納豆など、日本人の食卓に欠かせない食品の原料だが、食品用大豆の約75%を輸入に依存しおり、気候変動や国際情勢の変化で食料安全保障への懸念が高まるなか、自給率の向上が求められる。
自給率を高めるには、栽培面積の拡大に加え、単位面積当たりの収量(単収)を増加させることも重要だが、日本の大豆単収は、米国やブラジルに比べて低い水準にある。一方、日本の大豆品種は、高いタンパク質含有率や大粒で外観がよいなど、食品用として求められる高い子実品質を持ち、日本特有の病害にも強いなど、多くの優れた特長を備えている。
米国品種の高収量性と日本品種の高品質性を交配によって組み合わせることで、高い品質を保ちながら収量の高い品種の開発が期待されている(図1)が、収量や子実の品質という特性は多くの遺伝子によって制御されている。これまでは、個々の遺伝子の小さな違いだけでなく、品種ごとの遺伝子の有無に関する情報も不十分で、日本品種と米国品種の長所を併せ持つ品種の開発は難しかった。
そこで農研機構は、最新の高性能なDNA 解析装置を用いて複数の大豆品種のゲノム配列を詳しく調べ、なかでも日本の代表的な大豆品種「エンレイ」について、精度の高い全ゲノム情報を解読。さらに、独自開発の解析プログラム「Asm2sv」を用いることで、これまで評価が難しかった、品種により遺伝子が欠失するような大きなゲノム構造の変化を品種間で比較が可能になった。
その結果、莢のはじけにくさなど機械での収穫に適した特性や病害抵抗性、子実の大きさや形を決める遺伝子において、日米品種間で多くの違いがあることが判明。これらの情報を研究者が活用できるように整理し、大豆のゲノム・遺伝子情報を簡単に検索できるデータベース「Daizu-net」を構築した。
これらの成果は、日本品種と米国品種が持つそれぞれの優れた特長の遺伝的背景を理解するうえで有用で、今後の新品種開発に大きく貢献することが期待される。
重要な記事
最新の記事
-
農業構造転換へ 自民の推進委が初会合2025年9月10日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農いわてが追加払い 「市場過熱で苦渋の選択」2025年9月10日
-
「まっしぐら」3万円に 全農あおもりが概算金引き上げ 集荷競争に対応2025年9月10日
-
科学捜査研究所を捜査せよ【小松泰信・地方の眼力】2025年9月10日
-
【JA人事】JA江刺(岩手県)小川節男組合長を再任(6月25日)2025年9月10日
-
岐阜県「ひるがの高原だいこんフェア」みのるダイニング名古屋店で開催 JA全農2025年9月10日
-
愛知県産いちじく・大葉使用 学生考案の地産地消メニュー 16日から販売 JA全農2025年9月10日
-
みのりカフェ・みのる食堂三越銀座店15周年記念 国産黒毛和牛の特別メニュー提供 JA全農2025年9月10日
-
「九州銘柄茶フェア」直営飲食6店舗で10月5日まで開催中 JA全農2025年9月10日
-
乃木坂46が伝える国産食材の魅力 7週連続、毎週水曜日に動画を配信 JA全中2025年9月10日
-
本日10日は魚の日「長崎県産からすみ」など130商品を特別価格で販売 JAタウン2025年9月10日
-
バイオスティミュラントに関する自主基準を策定 日本バイオスティミュラント協議会2025年9月10日
-
長野県産希少種ぶどう「クイーンルージュ」の秋パフェ登場 銀座コージーコーナー2025年9月10日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」「くるるの杜」で 北海道の食を堪能 JAタウン2025年9月10日
-
JAわかやまAコープとエコストア協働宣言「水平リサイクル」協働を強化 エフピコ2025年9月10日
-
「野菜ソムリエサミット」9月度「青果部門」最高金賞1品など発表 日本野菜ソムリエ協会2025年9月10日
-
日本農福連携協会とスポンサー契約を締結 農業総合研究所2025年9月10日
-
鳥インフル 米ジョージア州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年9月10日
-
鳥インフル デンマークからの家きん肉等の一時輸入停止措置を解除 農水省2025年9月10日
-
初の海外拠点 アイルランド・ダブリンに設立 NEXTAGE2025年9月10日