LED植物工場で大玉トマトの栽培成功 宇宙・都市での食料生産も視野 東京大学2025年9月26日
東京大学大学院農学生命科学研究科の矢守航准教授らの研究グループは、完全密閉型LED植物工場での大玉トマトの安定栽培に世界で初めて成功。温室栽培と比較して、LEDでは植物の成長量や果実のビタミンC含量が高く、温室では果実のサイズや糖度が優れていることを明らかにした。LED植物工場は周りの天候の影響を受けず、収量と品質のばらつきを抑えられるため、宇宙空間や都市部での持続可能な食料生産において、極めて重要な技術基盤となる。

同研究グループは、大玉トマト「CF桃太郎ファイト」を用い、完全閉鎖型LED植物工場とにおける栽培性能を同一品種・同時期に比較する実験を行った。
LED植物工場では、気温と光強度を安定的に維持したことで、茎の伸長速度・茎径・葉緑素量が温室を大きく上回り、果実中のビタミンC含量も有意に高値を示した。一方、温室では気温や光強度の変動が大きかったものの、収量・平均果重・糖度・リコピン濃度が優れていた。ただし、周年栽培を想定すると日射と温度の揺らぎがさらに増大し、季節による生育・収量のばらつきは避けられない。
従来、トマトなどの果菜類は光を多く必要とするため、LEDのみでの栽培は難しく、LED植物工場ではもっぱらレタスなどの葉物野菜の栽培が行われてきた。同研究は、こうしたLED植物工場の"常識"にとらわれず大玉トマトの栽培に果敢に挑戦し、安定生産に世界で初めて成功した(図1)。
図1:LED植物工場における大玉トマト栽培
今後、光・CO2・温度などの環境制御の最適化や栽培手法の高度化によって、LED植物工場でも温室を上回る高収量・高品質な周年栽培の実現が期待される。また、この技術は、気候変動の影響を受けにくい安定供給型の食料生産手段として、都市部の垂直農業や宇宙空間での閉鎖循環型農業への応用も視野に入れており、持続可能な農業の未来を切り拓く重要な技術基盤となる。
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