収量を維持しながらCO2e排出量を30%削減 稲作に関する新知見を発表 BASF2025年10月8日
BASFは、グローバルカーボンフィールドトライアルから、収量を維持しながらCO2e排出量を30%削減する稲作に関する新たな知見を発表した。IRRIと共同で、気候変動に対応した稲作のための技術や介入策を検証。また、有望な介入策として、間断灌漑、乾田直播栽培、稲わら管理の改善を提示した。
BASFとIRRIの研究者が、2期連続の栽培シーズンにわたり、気候変動に対応した稲作技術と介入策を評価
(フィリピン・ラグナ)
農業が温室効果ガス(GHG)排出量の削減に取り組む一方、稲作生産者は独自の課題に直面している。従来の稲作が農業のGHG排出量のおよそ10%を占め、膨大な淡水を消費していることを踏まえながら、収量を損なわずに、いかに生産を持続可能なものにするか、という課題に対応するため、BASFは2024年、フィリピンで国際稲研究所(IRRI)とともに、Global Carbon Field Trial Program(グローバルカーボンフィールドトライアルプログラム)の一環として稲作に特化した取り組みを始めた。
今回発表された報告書では試験の結果、収量を損なうことなく、稲作における温室効果ガス強度(GHGi)を30%削減できることが示され、間断灌漑、乾田直播栽培、稲わら管理の改善などの水管理手法が、稲作における排出量や淡水使用量の削減に大きく寄与することが明らかになった。
試験では、BASFのAgBalanceライフサイクルアセスメントモデルが、ほ場の排出量を正確に推計できる有効な手段であることも実証。これは、生産現場において排出量を正確に把握する手段をこれまで持たなかった農業者にとって重要な課題解決となる。また、カーボン市場など新たなビジネスモデルへのアクセスを可能にし、経営に付加価値をもたらす可能性がある。
この結果について、BASFアグロソリューション事業本部グローバルストラテジックマーケティング担当シニアバイスプレジデントのマルコ・グロズダノビッチ氏は「昨年、5つの主要作物におけるGlobal Carbon Field Trialsの最初の結果を発表したが、今回の稲作に関する新たな知見は、気候変動に対応するソリューションが、まさに最も重要な現場であるほ場で実施・拡大されなければならないことを改めて示している。実際の栽培条件で試験することによってのみ、有意義で信頼できる結果につながる」とコメントした。
今回の試験は、気候レジリエンスの重要性も浮き彫りにした。IRRI所長のイヴォンヌ・ピント氏は「BASFと実施したグローバルフィールドトライアルは、気候変動に対応する稲作が排出量を削減すると同時に、農業者が異常気象や厳しいほ場条件に適応することを支援できる可能性を明確に示している。今後もこの協力関係を継続し、新たな機会を共に探求していきたい」と話した。
グローバルカーボンフィールドトライアルは、BASFが2030年までに5つの主要作物のCO2e排出量を30%削減するという、広範な取り組みの一環。この目標に向けて、世界の研究開発ユニット、オペレーション、コマーシャルのチームが連携し、さらに顧客やサプライチェーンのパートナーとも協力して、個別に対応したソリューションの提供に取り組んでいる。
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