大粒硫安で合弁会社設立 JA全農と宇部興産2016年4月12日
◆不足している国産大粒硫安
肥料の3大要素である窒素・りん酸・加里のうち、りん酸質および加里質肥料はほぼ全量を輸入に頼っているが、ナイロン原料であるカプロラクタムの副生物などとして生産される窒素質肥料である硫安は、ほぼ唯一、国内で生産されている。
硫安は国内で約50万㌧が肥料用として流通。うち15万から20万㌧は大粒品(平均粒径2.0㎜超)で、単肥(一種類で散布する)向けと、粒状の肥料を混ぜ合わせた低コスト肥料であるBB肥料の原料用として広く使われている。残りの硫安(粉・細粒)は主に化成肥料原料に使われ、一部は単肥としても使われている。
硫安を大粒化するためには、硫安水溶液を循環・濃縮・結晶化させる基礎的な晶析技術と、大粒化のための特殊技術が必要だが、そのような設備を持つ工場は限られており、近年は国内で約6万㌧/年の大粒硫安が不足しており、割高な輸入品などが使われている。
こうした状況から、硫安の国内最大手である宇部興産とJA全農は、大粒硫安増産について協議・検討を重ねてきたが、宇部興産はカプロラクタムの副生物として生産する硫安の大粒化製造ラインを新たに建設することにした。この新製造ラインは、宇部市の宇部ケミカル工場内に年間約6万tの製造能力を持ち、平成30年4月の稼働を予定している。
ここで増産された大粒硫安は、JAグループを通じて単肥およびBB肥料用原料として全国の農家に供給される予定だ。
JA全農では、これにより「高品質な国産大粒硫安の安定要求と農家の生産コスト低減が可能になる」としている。
◆合弁会社設立
そのため宇部興産とJA全農は、大粒硫安の貯蔵・出荷設備を建設し、新製造ラインで増産された大粒硫安の出荷・管理業務を行う「日本硫安サービス合同会社」を共同出資(出資金2億円、それぞれが50%ずつ出資)し、28年5月に設立することにした。
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