一家に1台で腰痛予防 10万円台のアシストスーツが登場 イノフィス2019年10月1日
東京理科大発のベンチャー企業、イノフィス(東京都新宿区)は、リコーグループとの協業連携により「マッスルスーツ」の次世代モデル「マッスルスーツEvery(エブリィ)」を11月1日に発売する。従来モデルより軽量化を図り、価格を10万円代に抑えた量産モデルで法人利用に加え、個人の需要も見込んでいる。
イノフィスのマッスルスーツは腰の補助に特化した装着型の作業支援ロボット。空気圧式の人工筋肉の働きにより、重いものや人を持ち上げたり、中腰を続けるなど腰に負担がかかる作業をサポートする。電力が不要で水にも強いことから、介護の現場をはじめ、物流や農業など幅広い業種で導入されている。
従来の「マッスルスーツ エッジ」は49万8000円と個人で購入するには高価だったが、新商品の「マッスルスーツ エブリィ」は13万6000円と大きくコストダウン。さらに、本体のフレームを従来のアルミから樹脂に変え、金型を使った一体成型にすることで3.8kgと従来モデルより500gの軽量化を実現した。
発売に先駆けて9月24日に都内で行われた記者発表会でイノフィスの古川尚史社長は、「高齢の方にも使っていただける軽さと、個人でも購入できる価格にこだわった。東京理科大学とリコーグループとの協力関係が組めたことがコストダウンと量産化につながった」と説明。開発にあたっては、リコーテクノロジーズが量産に向けて設計を行い、リコーエレメックスの生産受託サービス「REX DIA(レックスダイヤ)」を通じて量産する協業連携を組むことで量産化を実現した。めざすは、「一家に一台」だ。
「マッスルスーツ エブリィ」は従来モデルと同様、耐久性に優れ水やほこりにも強い。屋外で不意の雨に降られても問題なく、カバーを外して本体と一緒に丸洗いできる。農業など作業現場はもちろん、家庭での介護や、家事、冬の雪かきなど日常的に活用することで腰を守ることができる。
腰痛予防の救世主と言えそうだが実際、農業の現場では高齢者だけでなく、若い新規就農者が腰を痛めて悩む声も聞かれる。同社営業部の朝緑高太さんは、「サラリーマンから農業を新たに始め、まだ体の使い方がわからないうちに腰を痛めてしまう方もいるようです。そういう方に腰の予防のために使ってもらいたい」と話す。また、これまで他の農機の購入で後回しになりがちだったが、「価格が下がったことでより現実的に考えてもらえるのではないか」と期待を込めた。
「生きている限り自立した生活を支える」ことを目標に掲げ、2001年からマッスルスーツの開発に取り組む東京理科大学工学部の小林宏教授は、「ようやく家電並みの価格を実現できた。マッスルスーツを日本のみならず世界にも展開し、腰痛に悩む人をまされることのない世界を、日本初の技術で実現していきたい」と話した。
(写真)より軽量に価格を抑えた「マッスルスーツエブリィ」
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日