秋肥料 尿素、りん安、カリ値下げ-JA全農2020年6月1日
JA全農は5月29日、令和2肥料年度の秋肥価格(6月~10月)の決定について発表した。主要単肥のうち、尿素、りん安、りん鉱石、加里とともに軒並み値下げとなった。
尿素(輸入)は▲4.5%と3期連続の値下げ。国産尿素は輸入よりも割高となっていたため下げ幅の拡大を求め▲5.7%で決定した。一方、硫安(前期比+0.5%)と硝安(同+6.9%)はそれぞれ値上げとなった。
窒素質の石灰窒素(同▲0.2%)、りん酸質の過石(同▲0.2%)・重焼りん(同▲0.6%)、加里質のけい酸加里(同▲1.3%)は2期以上の値下げとなった。国内で製造しているこれらの品目では労務費や物流費が上昇しているが、主原料の値下げと製造時に使用する重油価格が原油市況急落から値下げすることを折り込み値下げで決着した。
尿素の国際市況は、世界最大の輸入国であるインドの入札開始や、新型コロナウイルスの感染拡大による中国からの輸出減少などで年明け以降は上昇しているが、前期比では値下がりしている。
化成肥料の原料となる窒素質とりん酸を含有するりん安は、北米が悪天候で需要が減少していることや、モロッコ、サウジアラビアの生産能力拡大による世界的な需給緩和から下落している。
塩化加里は北米や東南アジアにおける悪天候の影響やパーム油相場の低迷でマレーシアなどアブラヤシ産地の需要が減少したことに加え、インドと山元との価格交渉が値下げで決着したことから下落している。
国産で供給している硫安はナイロン樹脂の原料となるカプロラクタムや、鉄鋼高炉で使用されるコークスの副生品だが、カプロラクタム、鉄鋼とも事業採算が悪化しているという。とくに製鉄所の閉鎖や高炉の休止などが相次いでいる。このような状況のなかで老朽化した硫安設備の維持コストに加え、内航船輸送の割合が高く輸送距離も長いことから他の品目よりも物流費が増えている。
国産アンモニアや硝酸も中継基地の廃止や事業撤退にともなう国内物流費の増大、専用船や製造設備の維持更新コストなどから、国内メーカーは大幅な値上げを打ち出している。
JA全農によると新型コロナ感染症の拡大による肥料の海外主原料への影響は出ていないが、今後の拡大の動きの影響など物流も含めて警戒する必要があるとしている。
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