有機質肥料「バイオノ有機s」売り上げ125% 大成農材2021年8月5日
有機質肥料を開発・製造・販売する広島市の大成農材株式会社は、宮城県石巻市の自社工場で製造している魚エキスを含んだ100%有機原料の有機質肥料「バイオノ有機s」の1~7月の売り上げが2013年同月比で125%増になったことを発表した。
「バイオノ有機s」は、魚肉エキスに米ぬかを加えたペレットタイプの有機質肥料。原材料の青魚を新鮮な状態で食品に近い形で加工した肥料で、収穫した青果物の品質で差を感じられる。漁業が盛んな地域では昔から「魚系の肥料は農産物の味のノリが良い」といわれ、現代でも「魚」が配合された有機質肥料は多い。その原料である「魚」のほとんどは、加工食品を製造する際に出る魚の搾りかす「魚かす」が使われている。一方、「バイオノ有機s」は、加工時に出る魚のアラなどから魚肉エキス「フィッシュソリュブル」を濃縮したもので、出汁のように、魚の体液に含まれる天然のアミノ酸が豊富に含まれ、肥料効果が高くなる希少な原料を使用。さらに米ぬかを加えることで、おいしく丈夫な食物が育つ有機質肥料となっている。
農林水産省が5月に策定した「みどりの食料システム戦略」では、日本全国約400万ヘクタールの農地のうち、2018年段階で約2万3700ヘクタール(0.5%)の有機農業面積を、2050年までに100万ヘクタール(25%)に増やす目標を掲げていることもあり、国内で調達できる産業副産物を活用した肥料は、土場改善だけでなく、残渣処理や食品リサイクルなどSDGsへの貢献も期待されている。
こうした流れを受け、同社が1989年から販売している「バイオノ有機s」は、2013年と比較し125%と売り上げが順調に増加。商品情報に関する問い合わせも数年前までの年3~5件から、月に5件前後まで増えており、全国の生産者から、「安全、安心を訴求した有機栽培をこれから始めたい」「他の農家と差別化を図りたい」「野菜の味を追求したいので、アミノ酸が豊富な原料を使用した有機資材を探していた」などの声が寄せられている。また、肥料販売店からも、「今後、自社の地域でも有機農業を普及させていきたい」と取り扱いを検討する問い合わせも増えているという。
同社は、自社製の天然有機質肥料を使い、自ら農作物を育てるプロジェクト「大成ファーム」を行い、「実をよく知る肥料屋さんのトマト」として本来の旨みと甘みのあるトマトを販売。今後は有機質肥料「バイオノ有機s」が、「みどりの食料システム戦略」で示されたKPI「耕地面積に占める有機農業の取組面積を25%、100万haに拡大」に必要となる、土壌改善とおいしい青果物を両立する有機質肥料であることを自社産トマトでも証明していく。
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