廃棄物の資源循環システム構築に向けた共同研究を開始 肥料に用いるリンも回収可能 クボタら2023年5月24日
株式会社クボタと国立研究開発法人国立環境研究所は、廃棄物の資源循環システムの構築に向けた共同研究を開始したと発表した。各種廃棄物処理の現状調査や廃棄物に含まれる資源の調査、実証プラントでの廃棄物からの有価金属やリンなどの回収テストなど、「地域循環共生圏」を担う廃棄物の有効利用・資源循環の仕組みづくりに向けた共同研究を進めるという。
近年、廃棄物を巡っては環境負荷低減に加え、限りある資源の有効活用のために、発生抑制だけでなく再使用や再生利用といった循環的な利用が求められている。また、経済安全保障の観点からも、有価金属など廃棄物に含まれる鉱物資源の回収が期待されている。
クボタは、廃棄物や下水汚泥の処理に使用される溶融炉を自治体や廃棄物処理事業者等に納入しており、効率的な資源回収に向けた研究開発に取り組んでいる。クボタの溶融炉は資源回収効率に優れ、下水汚泥からは肥料に用いられるリンを高濃度で安定的に回収できる。さらに、従来はリサイクルが困難で焼却・埋立処分されていた電子機器や自動車のリサイクル残渣などの廃棄物からも有価金属を回収することができる。
国立環境研究所は、資源循環分野における国の中核研究機関であり、近年大きな問題となっている廃プラスチック等を含めて、環境負荷を広く把握し、影響を低減するための技術開発や政策提言・社会の仕組みに作りに取り組んでいる。加えて、資源循環と廃棄物処理の社会システム・資源利用の持続可能性評価と将来ビジョンの設計に取り組んでいる。
クボタの溶融炉は、プラスチックを燃料として使用できるため安定的な運転(自立溶融運転)が可能であり、プラスチックを余すことなく再利用できるうえ、溶融炉は廃棄物の資源回収に活用できることから、複層的な資源循環システムを構築出来る可能性がある。この点を国立環境研究所が評価し、クボタと溶融技術を活用した資源循環の仕組みづくりに向けた共同研究を開始することになった。
今後は、下水汚泥からリンをより効率的に回収したり、有価金属を廃棄物から高効率に回収、埋立廃棄物ゼロを目指し、共同研究を進める。また、国・自治体・大学・企業などに共同研究への参画を呼びかける予定。
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